3年ぶりに開催の「クラフトフェアまつもと」。青空の下、200を超える工芸品ブースで、出合いたくさん

長野県・松本市出身の〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの松永加奈さん。大人の遠足にピッタリな松本。民藝の街はクラフト好きにはたまらない。グルメも充実ですに続き、松本レポートの第二弾です。訪ねたのは、3年ぶりに開催された「クラフトフェアまつもと」。全国のさまざまな工芸品が一堂に会する、日本有数のクラフトフェアです。


待ってました!3年ぶりに開催の「クラフトフェアまつもと」


すっきりと晴れた5月の終わりの週末。全国のさまざまな工芸品が一堂に会する「クラフトフェアまつもと」が、松本市のあがたの森公園で開かれました。コロナ禍の影響で、3年ぶりの開催となったクラフトフェア。各地から集合したクラフトマンたちの個性あふれる作品と、クラフトファンで賑わった会場の様子をご紹介します。

今年で38回目を迎えた「クラフトフェアまつもと」は、その歴史の長さや規模の大きさから、日本各地で行われているクラフト系イベントの草分け的存在と言われています。場所は松本駅の真正面に向かって20分ほど歩いた先にある「あがたの森公園」。ヒマラヤ杉が立ち並び、緑に囲まれた芝生が広がる公園です。

旧制松本高校の木造校舎
園内に残されている「旧制松本高校」の木造校舎。現在は記念館となっていて、〝バンカラ〟と呼ばれたかつての学生たちの青春を垣間見ることができます。
あがたの森公園の風景
正面入り口のヒマラヤ杉が印象的な「あがたの森公園」。実はこちらに隣接する、公園と同じ名前の高校が私の母校でして、毎朝自転車でこの下を爆走しておりました…。
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運営スタッフの方によれば「作品は転売ではなくすべて出展者の手作りであること」が出展の条件で、毎年5~6倍の応募があるのだそう。そのため、小さなブローチからイスやテーブルなどの家具まで多岐に渡る展示は、どれも手作りの一点もの。布ものや革製品、陶器、木工などの日用品にも、クラフトならではのユニークさが感じられます。


「クラフトフェアまつもと」で出会った素敵な作品たち


クラフトフェアまつもとの出店品の器たち
日用品として使いやすい食器類は特に人気。同じように見えても微妙に違うのがクラフトの特徴。持った時の手なじみもさまざま。
セラミックのピアスやブローチ
セラミックのピアスやブローチにはたくさんの人が。クラフト好きなお客さん同士で「かわいいですよね」「お似合いですよ」と会話も弾みます。
材料や工具のブースにあるガチャ
会場には材料や工具のブースも。こちらの「みつろうガチャ」には「ガチャ」に反応して子供たちが駆け寄り、家族から「みつろう」について教わる姿が。
日本へと引き継がれたイギリス発祥のスリップウエア
イギリス発祥のスリップウエア。日本へと受け継がれた民藝の器は、独特の色合いとデザインで存在感を放っていました。
カラフルなミニタイルは八ヶ岳の作家さんの作品。高校生と思しき制服姿の女の子が吟味に吟味を重ねて1つを選び出す様子に、思わずきゅん…。
木材からできたブローチ
木工製品を扱うブースに使用している木材を加工したブローチを発見。遊び心を感じます。
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作家さんご本人と素材のこと、製作工程、こだわりや今後の展示予定など、直接お話できるのも楽しみの1つ。普段はイメージの中にある現場のリアルな様子が分かると、作り手の作品への愛着も伝わり「知らない世界が分かるって面白い!」とこちらの関心もぐんと高まります。

出店品の製作の様子
お話を聞きながら製作の様子を間近で拝見。当然ですが「なんて手が込んでいるのだろう!」と感心しきり。素材から作り出すものは受注販売となるものも。
石のコーヒー袋
チャックがついたコーヒー袋、素材はなんと石!「どうやって作るんですか?!」と作家さんを質問攻めにしたのは言うまでもありません。
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ちょっといい日用品も気になるところ。大量生産ではない逸品を長く大切に使い続け育てていくことで、何気ない生活がより豊かになるんだろうなあと憧れます。

青森ヒバの風呂いすや桶
こちらでは曲線も美しいお櫃がずらり。青森ヒバのお風呂イスや桶もあり、「きれい…」というため息が聞こえてきました。
天然素材の籠やザル
みんな大好きな籠やザル。実際に20年以上使われているザルが一緒に並べられ、変わらぬ形状に、天然素材の質の高さがわかります。
真鍮のカトラリー
真鍮のカトラリーは置かれているだけで絵になる不思議な魅力が…と思うのは私だけでしょうか?なかなか踏み切れないのですが、次回こそ。
動物がモチーフとなっているブックエンド
今回1番心を鷲掴みにされたブックエンド。モチーフになった動物たちの表情がなんとも豊かで、その発想にも脱帽。
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クラフトフェアの魅力は、全国から集まった展示品の数だけではなく、その展示方法にもあるのかも。公園という開放感たっぷりの場所では、作品が生き生きと輝いているような気が。そして広い空の下で送り手と受け手がのびのび自由に交流できる雰囲気も、いいものだなと思うのです。


開放的な空間が作品をより美しく魅せてくれるのです


展示ブース
展示方法がほかのブースとちょっと違うこちらは、作家さんも質問攻めに。近づいてみると…。
ウニの殻を使ったランプ
ウニの殻を使ったランプでした!この妖艶(?)さの正体がウニとは…。
人形の形をしたオブジェ
園内に古い木材でできた小屋を発見。そーっとのぞいてみると、なんともかわいいオブジェがお出迎え。
光が透けると美しいガラス作品
ガラスは屋外の天然の光の中で、より美しさが引き立っていました。
木に吊るされた布ものや吊り下げ型のオブジェ
木々を活用した展示は会場内でも多く見られた光景。特に布ものや吊り下げ型のオブジェは風が味方に。
作品が映える公園の緑
緑に囲まれた立地は、色彩のコントラストが作品の「映え」も大きく左右。今回は3年ぶりの開催、晴れて本当によかった。
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例年は2日間で約250組の出展、5万人以上の来場者を数える同イベントですが、今回はコロナ禍のため出展数を205組に縮小し、来場者数は3万人弱に。数字だけ見るといつもよりコンパクトだったものの、多彩なブースはもちろん見応え十分。人も多すぎず少なすぎず、新緑の下でゆっくり作品を見ながら「これいいなあ!」とわくわくが止まらず、「これが似合うお部屋に住んだなら…」と妄想も止まらず、逆に足は止まってばかり。

私自身も久しぶりに訪れ、自然と作品が織りなすクラフトフェアならではの空間を楽しむことができました。まだ未体験の方は、ぜひ一度。そして、来年もお天気に恵まれますように。

クラフトマン同士の交流場所
出展者はブースの後ろに荷物を置いたりテントを張ったり。クラフトマン同士の交流も楽しみなのだとか。こちらではわんこもしっかりと荷物番をしていました。
あがたの森公園の芝生
芝生の広場から遠くの美ヶ原を臨む〝自然だけ〟に見えるロケーション。スタッフの方曰く「木々が周りの人工物を隠しているので見事な借景なんです」。
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