【松永加奈のフランス便り60】選択肢は3つも!「フランス婚」の本当のところ。

松永加奈 コラム 結婚

在パリ6年のクウネル・サロンメンバー松永加奈さんのフランスレポート。今回のテーマは「フランスの結婚制度」について。「自由な結婚制度」として、日本でも話題になることも多いフランスの結婚、果たしてその実情は?

日本でときどき耳にする「フランス婚」という言葉。婚姻届けを出さない結婚、いわゆる「事実婚」を指しているという認識はあったものの「それって同棲と何が違うんだろう?」と、いまいち分かっていなかった私。そして実際にフランスへ来ると、この国の結婚制度には、3つの選択肢がありました。

宗教上「結婚」という結びつきを重視したものの、離婚したので、それ以降教会へ行かなくなったという人たちも…。

基本的に結婚(入籍)と同じ待遇を受けられる「パックス」。但し日本にはない制度なので、フランスでパックスをしている日本人は戸籍上「独身」。

ユニオン・リーブルのまま出産して子供を育てているケースも多く、そこには「経済的自立」と「互いに縛られない関係性」がしっかりと存在。

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まずは役所に婚姻届けを提出する「結婚」。これは日本で一般的な”入籍する”結婚のスタイルですが、婚姻届けの他に、複数の必要書類が発生します。そして「PACS(パックス・民事連帯契約)」と「ユニオン・リーブル(事実婚)」。日本ではなじみのないこの2つが、フランスのカップルに多いパートナーシップです。

入籍するより手続き簡単なパックス

「パックス」は性別に関係なく、成人したカップルなら必要書類(契約書など)を役所に提出すれば、世帯が成立。納税における控除や社会保障、子供が生まれた場合など、「結婚」とほぼ同等の権利を得ることができます。私の周りで「パックス」をしているカップルたち曰く「入籍するより手続きが簡単で良い」「フランスで暮らしているうえでは何の問題もない」とのこと。確かに、婚姻届けを出さなくても、特に不便はさそうです。

「事実婚」的な立ち位置のユニオン・リーブル

「ユニオン・リーブル」は、法的な手続きをしない事実婚。お互いの信頼のみで成り立つ関係性です。ただ、本人たちが自己申告するようなことでもない限り「この2人はユニオン・リーブル」と認識することもありません(そもそもそんなシチュエーション自体がないような?)。子供については「パックス」「ユニオン・リーブル」ともに、出産届けを出した時点で、母親には自動的に親権が生じ、父親は認知が必要。そして、カップルの関係が続いている間は共同で扶養義務があり、関係解消後は共同親権となります。

愛情いっぱいで信頼しあっている(ように感じる)カップルでも「結婚はしなくていい」という人は多いのです。

婚姻届けを出す際は、まず区(市)役所に予約。当日は保証人と区長(またはその代理人)の立ち合いのもと、セレモニーが行われます。

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同性婚もOK!自由なフランスの制度

こうした制度が存在する背景には、宗教上のこと、同性カップルの法的権利などさまざまな理由が(現在フランスでは同性婚も認められています)。また、「離婚」するには必ず弁護士をたてねばならず、例え”円満離婚”であっても、かなりのお金と時間がかかるので、その大変さを回避するために、初めから「結婚」という選択肢を採らないという考え方は珍しくありません。結局のところ「本人たちがどうしたいのか」ということが重要であって、法的制度をどう利用するかも彼らの自由です。ちなみに「パックス」のカップルが別れる場合、互いの同意は不要。1人が「もうムリ」「別れたい」と思ったら、役所に(勝手に)届けを出せばOK。そのため、知らない間に関係が解消されていて、パートナーが激怒したという話も…(でもどうにもなりませんが)。

離婚に労力がかかったので、その後はパックスや事実婚をするという人もいれば、再び結婚するという人も。やはり考え方は人それぞれですね。

愛情いっぱいで信頼しあっている(ように感じる)カップルでも「結婚はしなくていい」という人は多いのです。

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多様な結婚制度が社会的に認められているフランス。私も暮らすようになって、いろいろな考え方(愛の形?)を知りました。そして、法的なことより「2人(と子供たち)の良好な関係が維持されていること」が何より大切だと改めて思っています。

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