『70年代のヴィンテージはとても思い出深いもの』と話す、「LA FAMEUSE」デザイナー、エマニュエル・モンデジールさんのパリのお宅を訪問。少し昔のインテリアたちは当時の雰囲気を纏ってとても素敵。ヴィンテージインテリアの魅力をお伝えします。
▼前回記事
◎【居心地の良いインテリア①】庭の緑が心地いい。浅見英理さんの好きなものに囲まれた、自分らしいインテリア。
◎【居心地の良いインテリア②】外に出られないこのご時世、お庭の植物たちに助けられました。緑を育てリフレッシュ。
◎【居心地の良いインテリア③】こてらみやさんが心を動かされる。少しずつ集まってきた世界各国の古いもの。
◎【居心地の良いインテリア④】北欧雑貨の温かさと、機能美を暮らしのなかに。おさだゆかりさんのインテリアコレクション。
◎【居心地の良いインテリア⑤】インテリアスタイリストの暮らしを支える名工の椅子8脚の物語。
◎【居心地の良いインテリア⑥】鮮やかな色彩が暮らしに華を添えるモロッコ雑貨。『ファティマモロッコ』大原さんのインテリア
窓から見えるサクレクール寺院や風車などの景観が気に入り、モンマルトルのアパルトマンに暮らすエマニュエル・モンデジールさん。エールフランス航空のパイロットである夫と15歳の娘との3人暮らしです。「独身時代もモンマルトル周辺で引越しを繰り返し、結婚後、ちょうど8年前にこの部屋が空いたので引っ越しました。いくつかの小さな部屋に分かれていたのを、壁を壊し、大きなリビングダイニングにリノベートしました」エマニュエルさんは自分が生まれた1970年代の家具やオブジェが大好きです。
「子供の頃の私の思い出は、70年代の家具や雑貨とともにあるんです。たとえば両親と旅に行った際の空港やホテル、祖父母の家のインテリア、買い物先のパン屋さんの内装とかですね」その風景は、どれもノスタルジックで素敵な思い出として、エマニュエルさんの心に記憶されています。それがきっかけで、いまも70年代の家具に惹かれます。話をうかがっていると、その〝好き〟のこだわりはかなりの熱量。「引越しと同時に家をリノベートした際に、キッチンの壁から床にかけてはタイルを敷きました。スペインのDel sur(デルスール)というメーカーに依頼し、私が色とデザインを選び、モザイクタイルを焼いてもらいました。このタイルの壁と床が部屋全体に70年代の雰囲気を演出していませんか?」じつは70年代のインテリア雑貨には熱狂的なファンが多く、ネットでこれは!というものを見つけても、コンディションやデザインのいいものは、即決で買わないとすぐに売れてしまうほどの人気だそうです。「だから時間があるときは頻繁にサイトをチェックしたり、アンティークショップをのぞきに行ったりしています」
いま、探しているのは70年代の大きなラグ。なかなか思い通りのものが見つからず、辛うじてネットのヴィンテージショップで見つけたオレンジ色のラグで代用中。「好きな70年代の家具のなかにいると気持ちが落ち着くし、仕事をする際は気分が上がります。何より思い描いたものを探し、やっと見つけて部屋に置いたとき、色やバランス、形、大きさなどが違っても自然にマッチし、不思議と調和する。その瞬間を見るのが何より幸せなんです。まだまだコロナの影響で外出が制限されていますが、好きなものに囲まれて暮らしていると、免疫力がアップする気がします。これはとても大事なことですよね」
エマニュエル・モンデジール
「LA FAMEUSE」デザイナー。
モンマルトルでファッションブティックを経営後、サステナブルな服作りに開眼。縫製を学び直し、アップサイクリングブランド「LA FAMEUSE」を設立。https://www.lafameuseparis.com
『ku:nel』2021年7月号掲載
写真 篠あゆみ/取材・文 今井恵/パリコーディネート 鈴木ひろこ
●素敵なインテリアやガーデン
◎「買い替え」ではなく「メンテナンス」。「吟味して買い、長く愛用」がいまの気分です。
◎【クウネル世代の生活の整え方】自由で華やか。パワフルに生きる島田順子さんのお庭
◎【クウネル世代の生活の整え方】暮らしの基盤を心地よく整える、松山美紗さんのヴィンテージ家具