部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の森田三和さんのバトンを受けてご登場いただくのは、物語のあるアンティークと雑貨の店『fangle』を奈良で営む藤島多恵さんです。
多恵さん・暮らしのルール
1)食事の時間はゆっくり楽しく。しっかり寝る。
2)月に数日は、何も予定を入れない日をつくる。
3)ものも衣服も手入れ、繕い、工夫をして使う。
4)あせらず、たゆまず、怠らず。
20代の前半にアフリカやアジアを旅して、さまざまなものを見てきたという多恵さんは、2004年に鎌倉に『fangle』を設立。奈良に移転した現在も、扱っているのは国内外で見つけた古いものが中心です。
「価値があるかどうかではなく、使い続けられたものには様々な魅力があり、修繕された跡やキズ、凹みでさえ、物語を感じさせてくれます。もともと古いものではなく、新しく手に入れたものでも、手入れしながら長く共に過ごすことで思い出もできます。壊れたり破れたり、穴が開いたときはがっかりしますが、修繕してからの方が思い入れが深くなることも。一張羅だった服が部屋着になり、祖父母から受け継いだものは今や立派なアンティーク。お店のオリジナル商品も作っていますが、いろいろな場面で使い続けてもらえたら、という想いがあります」
そんな多恵さんの暮らしに、欠かせないのは音楽。
「食事の準備や片付け、洗ったカディを一枚一枚補整して畳む作業中は、もっぱらSpotify(音楽のストリーミングサービス)を聴く時間。デジタル音痴な私が、ポッドキャスト(スマホで聴ける音声コンテンツ)で三和さんが話すと聞き、使い始めて以来ハマっています。インドの映画音楽まで曲単位で聴けるし、好きな曲だけ流れてくると、家事も仕事もはかどります」。
profile
藤島多恵/ふじしまたえ
東京生まれ。奈良市にて「fangle」を夫婦で営む。
大学の文化人類学研究室での仕事を経て、プリミティブアートやハンディクラフトを扱う会社に勤務。そこで夫となる藤島智宏と出会う。2004年鎌倉にて『fangle』を設立。当初はデットストックのスニーカー、後に日本・諸外国の古道具やハンディクラフトを輸入、卸売業を始める。2011年に奈良に移転、小売り店をオープン。夫と2人の子供+3匹の猫と暮らしている。
https://fangle.jp
Instagram:@fangle.t
多恵さんがバトンを渡すのは、鎌倉にいた頃にご近所で、お店を始める前からのお付き合いだという『Fabric Camp』の小山千夏さん。「穏やかなのに感覚が鋭くて芯があり、太陽のよう。交わした何気ない会話のなかに、その後もずっと心に残る言葉があります。千夏さんの日常が近くにあったことは、幸運でした。お姉ちゃん的な存在で、信頼する、大好きな人です」。千夏さんの暮らしは、2月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。
これまでの<住まいと暮らし>
◎vol.001 フォロワー24万人!世界中の‟暮らし好き”を魅了するフラワースタイリストの美しい生活とは?ー増田由希子さん
◎vol.002 大人のベーシックを知り尽くす大人気ファッションスタイリストが実践する「日々の更新術」―森慶子さん
◎vol.003 まるで美術館!人気セレクトショップオーナーが自分のために選んだ日用品とは?―恩田登喜枝さん
◎vol.004 人気イラストレーターが私生活で描くミニマムで簡素な世界―奥村麻利子さん
◎vol.005家づくりを通して見つけた、人生に欠かせないものー河村奈穂さん
◎vol.006カフェのオーナーがパリで見つけた大切なものー松崎裕衣さん
◎vol.007食べることは生きる喜び。パリで紡ぐ自分らしい生活ー山根恵理子さん
◎vol.008フランスの田舎暮らしで見つけた、人生の第2ステージー角田雪子さん
◎vol.009子供が巣立ち、夫婦二人暮らしになって見えた、暮らしの優先事項ーhal後藤由紀子さん
◎vol.10人生の集大成としてものづくりを楽しむための、自分のアトリエーTRUCK唐津裕美さん
◎vol.11自分時間を大切に。好きなものに囲まれた暮らしーミアズブレッド森田三和さん