【伝説の家政婦・タサン志麻さんに聞く。料理のコツ①】キッチンの狭さを活かした、無駄のない収納術。

どこのキッチンでもその家の調理道具で、手際よく多くの料理を、とびきりおいしく作る伝説の家政婦、タサン志麻さん。そんな志麻さんの住む自宅のキッチンは、意外にもこぢんまりとした空間。しかし、よく見ると、すべてのものが作業する上で無駄のない完璧な配置となっています。今回は、料理を効率よくするだけでなく、気持ちよくできるようになる、志麻さんのキッチン収納術と、新しい発見につながる料理のコツを教えていただきました。

続編:【伝説の家政婦・タサン志麻さんに聞く。料理のコツ②】「私は菜箸1つでほとんどの作業をします」

愛用するメルシーのエプロンをして、自宅のキッチンに立つ志麻さん。「気軽に作って、会話しながら楽しむ家庭の気取らない食事。フランス料理を通して学んだ、そんな料理の魅力を伝えたいので、これからも基本は家政婦として、それを発信していきたいです」。と語ります。

志麻さんの自宅は趣のある古民家。こぢんまりした台所は、すべてのものが作業動線を考えた無駄のない配置でスタンバイしています。「キッチンは広い方がいいと思われがちですが、広さよりもむしろ、必要なものが必要なところにあるかどうかがです。狭いとしまうところが限られるけれど、広いと収納スペースも多くなり、あちこちバラバラに収納してしまって結局、料理がしにくくなってしまったり……。うちのキッチンは狭いですけど、これで十分なんです。本当によく使うものと、ときどき使うものを分けて、すっきりと収納することが、効率のよさだけでなく、気持ちよさにも繋がると思います」。


あるべき場所に立てて収納。

ごちゃごちゃしがちな木べらやお玉などのキッチンツールは、すぐに手に取れるようにガス台横に。志麻さんの厳しいセレクト基準をクリアした選抜メンバーは、これがすべて。

よく使うハーブはマグネット缶に。

「ローリエのツンとする香りをタイムが中和させてくれるのでフレンチではセットで使うことが多い」。2種類のハーブと赤とうがらしをマグネット缶に入れて冷蔵庫に貼り付けて。

扉のない収納で一目瞭然。

業務用のシンクとガス台の下は取り出しやすい収納スペースで、磨き上げたステンレスの質感が清潔な印象。入れ子になる鍋や幅をとらないボウルも重ねてコンパクトに収納。

レシピどおりの材料がない場合は、手元にある食材で代用してみる。


作りたい料理の食材が揃わないときは、根菜なら根菜という種類が同じものや、食感や色が近いもの、煮た後に状態があまり変わらないもので代用してみても。そうすると、代用したものの方がおいしいとか、意外な発見があることも。レシピを追っているだけでは気づかないことですが、新しい発見につながるので、多少の失敗は恐れずに。

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『ku:nel』2021年5月号掲載

写真 目黒智子、青木和義(料理)、中島慶子(料理)/取材・文  黒澤弥生

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