環境問題やSDGsなどに対して関心があっても、個人では何をしたらいいのかわからないという人も多いのでは? おすすめは、毎日家庭で出る生ごみを捨てるのではなく、土の栄養(堆肥)にして家庭菜園を楽しむこと。身近な家庭の台所から、誰でも始められるのがコンポストです。
コンポストとは堆肥のこと。家庭から出る生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を微生物の働きを活用して発酵・分解させて、堆肥を作ります。
最近では家庭で手軽にできるコンポストが増えているなか、おしゃれでシンプルなバッグ型のデザインで、マンションのベランダでも気軽にできると話題なのが「LFCコンポスト」です。
このコンポストは生ごみの分解を速めて、悪臭の発生を抑える独自の配合の基材、水や虫の侵入を防ぐ特注のファスナーなど、初心者にも続けやすい工夫が施されているのが特徴。1日300gの生ゴミを1.5ヶ月〜2ヶ月間投入すると、その後2、3週間ほどで栄養価の高い有機堆肥になり、できた堆肥でそのままベランダ菜園を始めることができます。有機堆肥で作る野菜は、味がしっかりして甘みが強く、香り高くなるそう。
そんな画期的な「LFCコンポスト」はどのようにして生まれたのか、代表のたいら由以子さんにお話を伺いました。
たいらさんはお父さんの病気をきっかけに、食の重要性を実感。土がすべてを還元すると考え、自分の暮らしを支える資源に疑問を持ったといいます。
「調べていくと、アスファルトで覆ったり、ここ100年であっという間に土が痩せていることに気がつき、毎日水を汚し、ごみを出して、自然に相当な負担をかけて生きていることを実感しました。環境問題が言われていますが、問題なのは私たち一人一人の暮らし。ならば、今の暮らしからできることを考えようと行きつきました」
実は「生ごみとして捨てる部分は、一番栄養があるところ」とたいらさん。捨てるか捨てないかが、環境問題の大きな部分を占めているといいます。
「野菜も皮に一番栄養がありますよね。肉も古くなったからと捨てると、スーパーの冷蔵庫、ガソリン代、それが輸入されたものなら燃料、育ったときの水、飼料、飼料を育てるための時間、労力、すべてを捨てることになります。食べものを大切にして食循環を作れば、環境問題で言われている多くの課題が解決できます。日本はごみを処理するのに約2兆円の税金をかけていて、その半分の約1兆円が食品廃棄物の処理にかかっているんです。いち早くできることをしないと、環境問題はとても深刻です」
そこでたいらさんは25年前から、土と暮らしをつなげるため、半径2kmという顔が見える距離で生ごみが堆肥になり、野菜に変わる「資源循環」を都市部から発信していくことを目標に活動。都会でできるコンポストを、と「LFCコンポスト」を開発したのが2020年の1月でした。
「NPO活動としてやってきて、”いいことをしているね”と言われますが、いまだに9割の人が生ごみを焼却処分しています。都会に暮らす人が、食料システムに入っているという実感を持たないといけないと思いました。そのためにはスーパーで買った食品を食べて、捨てない。そこに”コンポスト”という自然とつながる活動をプラスすると、スーパーで食品を見る目が変わり、フードロスが20%以上減るんです。都会には人も生ごみの量も多く、アイデアもあって影響力がある。そんな都市部から栄養循環を発信していくことが、持続可能性を高めると思っています」
できた堆肥の使い道に困る人のため、堆肥の回収イベントも開催。オンライン講座や相談会のほか、LINEでは個別に質問にも対応。堆肥の状態のチェックもしているそう。
「堆肥を郵送してもらえたらその堆肥で私たちが野菜を育て、3ヶ月後に送り返すというサービスも行っています。Facebookのコミュニティでは、利用者が野菜づくりのアドバイスをしあうなど、盛り上がっていますね。将来的にバッグのままマルシェに持っていき、農家の野菜と交換できる仕組みを作りたいと思っています。コンポストは1日1分でできます。さらに、少量でもいいので野菜を育てるとすごく面白い。楽しくていいことをしている、そういう仕組みにしたいですね」
動機は、おしゃれだから、家庭菜園を楽しみたいからでも全然いい、とたいらさん。サポート体制もしっかりしている「LFCコンポスト」で、生ごみを減らし、エコフレンドリーな暮らしを始めてみては。
information
LFCコンポスト:https://lfc-compost.jp
イベント:https://lfc-compost.jp/archives/category/event
公式Instagram:@lfc_compost
取材・文 赤木真弓
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