コロナ禍による長い自粛期間で、おしゃれ心も少ししぼみがちではありませんか?でもやっぱり好きな服を見たり買ったりすると気持ちが上がるという小林麻美さん。スタイルのお手本にしたかったミューズ、将来も変わらず着ているはずのアイテム、この先のおしゃれの展望を語っていただきました。→前編からの続きです。
変わらないスタイル、
進化するおしゃれ。
小林さんには、生きていたら今どんなおしゃれをしているのか、知りたいと思い続けている人がいます。かつてカルバン・クラインのプレスで、ジョン・F・ケネディ・ジュニアの妻だったキャロリン・ベセット=ケネディです。
「彼女は私の好きなおしゃれな人NO.1。そのスタイルは、黒いニットとスカートの組み合わせやミニマルなドレスと、とにかくシンプルで素敵。90年代に飛行機事故で亡くなってしまいましたが、昔の写真を見てもファッションがまったく古くないんです。生きていたら50代。おしゃれのキャリアを重ねて、彼女がどんな服を選び、着こなしているのか本当に知りたかったし、きっと素晴らしかったはずなのに、それが叶わずとても残念です」
そんな小林さん自身のおしゃれキャリアを積んだ将来のイメージは、1枚
の写真となって頭に焼きついています。
「江ノ電のような電車内で、私は明るく穏やかな春の陽を浴びて孫と一緒に座っています。それは生き方やライフスタイルも伝わってくる写真。グレイヘアの私は、もちろん昔から大好きなネイビーの服をまとっています」
10代の頃の紺ブレに始まって、これまでもこれからも愛を注いでいくだろう、ネイビーのアイテム。好きな服はこの先も変わらないけれど、常に変わりゆくファッションの薫りは感じ続けていたいと言います。
「長く通っているキャンティでも、変わらないように見えてインテリアもメニューも進化しています。ファッションの世界でも定番ですら変わる。ネイビーを愛するスタイルは変わらなくてもアイテムのフォルムやパターンは変化して、30年前のものが新しく見えることも。つまり変わらないことは変わることだと思うんです。そういう意味で変わり続ける自分でいたいですね」
●小林麻美さんのエッセイ 好評連載中です!
◎たくさんの街を経由して、いままた銀座が落ち着きます。
◎私らしさをつくってくれる、おしゃれについて考えます。
◎ハイブランドからファストファッションまで。私らしいワードローブとは?
◎私の目指すチープシックについて。
◎女ゴコロをつくる口紅について私が思うこと
◎香水から始まる女としてのストーリー
◎女性らしさを演出するおしゃれについて
◎我が家で評判のお料理を紹介します。
◎得意料理のひとつ「牛スジ煮込み」について。
『ku:nel』2021年3月号掲載
写真 加藤新作 / スタイリング 小林麻美 / ヘア 林カツヨシ Jill / メイク COCO 関川事務所 / 取材・文 綿貫あかね / 編集 黒澤弥生