口紅は「女性らしさ」を作るうえで欠かせないアイテム。小林麻美さんも例外ではないようで……。自身が撮り下ろした写真とエッセイをご紹介します。
上下の付け睫に茶髪だったころを除いて
ずっと口紅は ピンクが好きだったし ピンク系しかつけなかった
だけど ある時 化粧品売り場のカウンターで
CHANEL の 真っ赤な口紅を ふらっと買ってしまった!
家に帰り こっそりぬってみたけど
笑っちゃう位に似合わなかった!
それ以来 封印していた その赤い口紅が
ある夜 劇的に!?別の私を作り出してくれた!
何かのパーティに行く夜だった
いつものように 黒いスーツだったかな を着て
いつもの背中までのロングヘアで パールのピアス
でも 何か 足りない
あれこれ 巻いたり 外したり……
で 鏡台に転がって忘れ去られていた その口紅を
ふと ぬってみた
不思議!
鏡の中にまるで別の私がいる!
それくらい 真っ赤な口紅は 劇的だった
気持ちまで 別の私になっていた
でも やはり デイリーには使えなくて
たまに 本当にたまに
その赤い口紅をつけると
やはり 慣れないからドキドキしていると
何故か 評判は上々
不思議と 自分に似合う赤は決まっていて
何本も買ってしまうけど
やはり 私の赤い口紅は その赤に決まっている
でも もっと不思議なのは
真っ赤な口紅は 夜のパーティや
ドレスアップしたときだけではなく
すっぴんに 赤い口紅 デニムも ありでしょう!
で その技を見つけたときは
ひとりで ガッツポーズを!
そう 覚えていないけど
七五三の写真の私は
不機嫌そうな顔して 真っ赤な口紅!
それから いくつもの赤に出逢い
たくさんの時が流れて
そして いつか
白髪になって 綺麗な素肌で 皺があっても
赤い口紅が似合う女性になりたい
小林麻美/こばやし・あさみ
高1から雑誌やCMのモデルを始め、高3終盤に「小林麻美」で歌手デビュー。憧れのファッションリーダーとして活躍の後、結婚を機に引退。昨年、25年ぶりに本誌に登場し話題に。以来、連載が大人気。
『ku:nel』2018年1月号掲載
文・写真 小林麻美