島田順子さんが薦める“ファッションも見どころ”の名作映画とは?【後編】

映画は、ストーリーもさることながら、登場人物の多彩な衣装や着こなしを楽しめるのも魅力の一つ。ファッションデザイナー・島田順子さんが推薦する“ファッションも見どころ”の映画とは?

PROFILE

島田順子/しまだじゅんこ

ファッションデザイナー。千葉県館山生まれ。1981年 JUNKO SHIMADA DESIGN STUDIOを設立。2024年春夏でコレクション発表は85回目に。『島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密』(マガジンハウス)など著書多数。

ハリウッドスターはドレス姿よりカジュアルスタイルが好き

今では名作となったアメリカ映画もよく観てきたという島田順子さん。『紳士は金髪がお好き』では、主演のマリリン・モンローが着ていたぴったりと体に張り付くシルエットのニットに目を惹かれました。

「遺作となった『荒馬と女』では、白いブラウスの裾をウエストでぎゅっと結んで、太いリーバイスのデニムをはいていました。彼女はバストも大きく非常にグラマーな体つきですが、そういう人が男の子っぽいカジュアルな服を着ている、そのアンバランスさがとてもチャーミングでした」。

バランスを崩したりテイストをミックスしたりすることは、今のおしゃれにもつながるスタイルです。

『紳士は金髪がお好き』

ハワード・ホークス監督のミュージカルコメディ。お金に目がないショーガールのローレライは富豪の御曹司との結婚目前だが彼の父親は猛反対。無事に結婚できるまでのドタバタを描く。マリリン・モンローのコケティッシュな魅力が満載。

『荒馬と女』

アメカジスタイルが魅力的なモンローの遺作。ネバダ州の街でカウボーイと知り合ったロズリンは、砂漠での彼らと野馬との戦いを見かねて止めるが……。

10代の頃に観た作品のディテールもヴィジュアルで記憶

「『理由なき反抗』では、ジェームズ・ディーンのプラスティックのような質感の真っ赤なブルゾンに釘付けに。ボトムスはデニムを合わせていて、あれはファッションそのもの。彼はプライベートでもおしゃれな人で、今見てもデモデ(流行遅れ)じゃないんですよね。遺作の『ジャイアンツ』では、エリザベス・テイラーのシャツとフレアスカートのベージュトーンの着こなしも印象的」

『俺たちに明日はない』のフェイ・ダナウェイも、映画のファッションとしては見どころが多い。

「シルクブラウスやタイトスカート、スカーフの巻き方とか、全部がきれい。彼女はどこかエキゾティックな香りのする女性ね」

『理由なき反抗』

1955年公開のジェームズ・ディーン主演の2作目。17歳の不良少年という役らしいブルゾンとデニムが、アメカジファッションの定番となった。

U-NEXTで配信中  TM & © Warner Bros. Entertainment Inc

『ジャイアンツ』

テキサスの大牧場の主人とその妻、彼女と心の交流をする牧童。しかし牧童は油田を掘り当て、3人の立ち位置が変化。妻役のエリザベス・テイラーが砂漠の風景にマッチしたベージュ系スタイルで登場。

『俺たちに明日はない』

世界恐慌時代の銀行強盗犯2人の実話を映画化した、60年代アメリカンニューシネマの先駆的な作品。ウエイトレスのボニーは車を盗もうとしていたクライドと意気投合し犯罪に手を染める。ボニー役のフェイ・ダナウェイのファッションは公開と同時に話題になり、特に被っていたベレー帽は爆発的に売れた。

ドレスを着たハリウッドビューティよりも、カジュアルスタイルの似合うチャーミングな俳優にファッションを感じる、というのが順子さんらしい映画の見方です。

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『クウネル』1月号掲載 写真/山下郁夫、取材・文/綿貫あかね、編集/黒澤弥生

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『クウネル』No.124掲載

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