これまでクウネル・サロンでご紹介した記事の中から、10月に読みたい記事をピックアップしました。
パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。荻野さんがフランスの食の秋についてご紹介します。
※記事の初出は2022年の10月。内容は執筆時の状況です。
フランスの秋のおたのしみ。私の偏愛フルーツ、いちじく
今年の夏は、本当に、本当に暑くって、クーラーのない我が家(フランスではクーラーを持たない家庭がほとんど!)では、7、8月と寝苦しい夜を過ごしました。
このまま永遠に暑いままなのではと思うほどでしたが、ここ1週間でぐんと気温が下がり、すっかり秋らしいお天気になりました。ジャケットや軽めのトレンチを羽織ったパリジェンヌたちを見ていると、私もワードローブを一新して、おしゃれを楽しみたいという欲求がむくむくとわいてきます。
フランスで季節の移り変わりを感じるのは、道行く人のファッションだけではありません。カフェやパティスリーのショーケースに並ぶケーキにも秋が訪れています。今が旬の果物はたくさんありますが、特に私が愛してやまないのがいちじくのタルト。
皮がついたまま4分の1ほどにカットされたいちじくが、香ばしいタルト生地の上に並べられている姿は芸術作品のように美しく、見かけるとついつい買ってしまいます。
マルシェで生のいちじくが山積みになっている光景は、いちじく好きの私にとっては天国!日本のものに比べて小ぶりで食べやすく、しかもさほど高くないお値段で買えるとあって、フランスに来てますます身近な存在になりました。
スイーツだけでなく、レストランでもいちじくを使った料理がたくさん登場するので、メニューで見かけたら絶対に注文しちゃいます。
生のいちじくとブッラータチーズのサラダや、鴨肉に合わせたいちじくのコンフィなんて最高。自宅でもいちじくと山羊のチーズをのせたピザを作ったり、シンプルに赤ワインと砂糖で丸ごと煮たコンポートにバニラアイスを添えたりするのもお気に入りの食べ方です。
黒いちじくだけでなく、白いちじくもフランスならではの品種で、上品な味わいがこれまた美味。いちじくの季節が終わるまで、心置きなく楽しみ尽くします。
文/荻野雅代