サンジェルマン・デプレの秋の空気をシェア。パリはいま、街に血が通って息を吹き返したようです。

サンジェルマン・デプレ

新しく〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーに加入となったトリコロル・パリ。荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりのユニットで、パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰しています。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信し、フランス好きさんから絶大な支持を得ています。そんなおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしを紹介してくれます。第二回目は、桜井道子さんが担当。日本のツーリストも人気のサンジェルマン・デプレについて。

思い出のエリア、サンジェルマン・デプレ

パリの秋は深まって、公園や並木道に枯葉の舞う季節になりました。私はこのところ、まさに秋の似合う地区、サンジェルマン・デプレを歩き回っています。生まれて初めてパリの地に降り立った25年ほど前、最初に泊まった宿がサンジェルマン・デプレにありました。そのせいなのか、いつも特別な気持ちになる場所です。

サンジェルマン・デプレ
リヨン生まれの画家イポリット・フランドランが19世紀に手がけた内部の装飾画が蘇ったサンジェルマン・デプレ教会。

サンジェルマン・デプレ教会 の素晴らしい装飾画

この地区のシンボルといえば、やはりサンジェルマン・デプレ教会でしょう。6世紀の修道院の敷地内に、10〜12世紀にかけて建設された、パリに現存する最古の教会です。まだのどかな風景が広がっていたであろう中世の昔からずっとそこにあって、左岸に暮らすパリジャンたちに愛され続けています。この教会はもう訪れたことがあるという方にもぜひもう一度足を運んでほしいのは、2016年から2020年にかけて行われた内部の大規模な修復により、19世紀初頭の装飾画が、鮮やかな色彩を取り戻したためです。星がきらめく夜空を模した天井の下に生き生きと描かれたフレスコ画を眺めていると時が経つのも忘れてしまいます。そして、昔の人々がここで感じた驚きと畏敬の念を想像できるような気がします。

サンジェルマン・デプレ教会。
身廊にある20のフレスコ画には旧約聖書と新約聖書のシーンが色彩豊かに描かれています。
サンジェルマン・デプレ
フランスの国民的俳優ジャン=ポール・ベルモンドの葬儀が先月ここで行われたのは記憶に新しいところ。
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フランスでもコロナ禍はまだまだ現在進行形ではありますが、衛生パスポートさえあれば、カフェでひと休みしたり、レストランで美味しい食事をしたり、話題の映画を見たり、お気に入りの美術館に行ったり、バカンスには旅をしたり、そんな普通の生活がようやく戻ってきました。昨年の秋から半年以上閉まっていた飲食店が営業を再開した今年の5月半ばには、大げさではなく街に血が通って息を吹き返したようでした。

カフェ・ド・フロール
飲食店の営業がテラス席のみ解禁された今年の5月19日当日のカフェ・ド・フロール。
カフェ、レ・ドゥ・マゴ
同じ日のお隣のカフェ、レ・ドゥ・マゴ。お客さんも店員さんも、みんながカフェ再開の喜びを噛みしめていました。
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世界中から人が訪れる2大カフェ

パリのみならずフランスを代表すると言っても過言ではない2つの老舗カフェ「カフェ・ド・フロール」と「レ・ドゥ・マゴ」があるこのサンジェルマン・デプレでは、その感覚はなおさら強かったように思います。フランス人にとって、カフェはただコーヒーを飲む場所以上の、もっと親しみのある、生活の一部です。著名な哲学者や小説家、芸術家たちが通ったこの2つのカフェも、どこにでもあるような何の変哲もないカフェも、それぞれに愛されています。カフェの椅子に座り、街ゆく人をぼんやりと眺めながらエスプレッソをゆっくり飲む、そんな日常が戻ってきたことへのありがたみをひしひしと感じています。(桜井道子)

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