ファストファッションや、プチプラ服を上手に取り入れたコーディネートに定評のある「canaria_rs(カナリア)さん」。今日からは、カナリアさんがこれまで歩んできた道のりを、ご自身の言葉で紹介したいと思います。本人いわく、その道のりは「行き当たりばったり」だったそうですが、そんな中でもカナリアさんが、同世代の女性たちにいま伝えたいと思っていることとは、なんでしょうか? ぜひシリーズの最後までお付き合いください。
canaria_rs / カナリア
1969年生まれ。プチプラアイテム中心のコーディネートや等身大の暮らしぶりを綴ったInstagramや、39歳から書き続けているブログ『Canaria Style』が、大人の女性たちから多くの共感を集める。不定期で販売する自作のアクセサリーも好評。また今秋は、アパレルブランド『Zalal』とコラボしたパンツやジャンパースカート等も発売中。
◎はじめに
みなさん、こんにちは。カナリアと申します。ブログ名にもなっているこの愛称は、義母が営む喫茶店の名前からとりました。特別じゃなくても、細く長く愛されるカナリアのようでありたいという願いが込められているそうで、そんな心構えをおすそ分けしていただく気持ちで名乗っています。
東京都在住の現在52歳。多くの方々と同じように、ファッションやネイルなど自分の興味のあることを自分なりに楽しみ、また季節の花で部屋を飾ったり、旬の食材で簡単な料理を作ることに幸せを感じる、ふつうの主婦です。
今日から、自分のことを少しずつお話していこうと思います。クウネル・サロン編集部の方から、今回の依頼をいただいたとき、一般人である私が、ごくごく平凡なセルフヒストリーを語るなんて、おこがましいにもほどがある……と思ったのですが、こんな自分の話でも、もしかしたら誰かの勇気になることがあるかもしれない、誰かの背中をそっと押すことができるかもしれない、そんな風に思い直し、書かせていただくことにしました。画面越しの、どなたかの心に届くようなことがあれば、これ以上嬉しいことはありません。
いきなりですが、私は46歳のとき、10歳年下(当時36歳)の男性と結婚しました。さすがに自分でも、もう結婚することはないだろう、と思っていた頃のお話です。恋人ができることすら、想定外の事件でした。夫は、じつに優しくて穏やかで、聡明な人です。6年が経った今でも、結婚してよかったなぁとしみじみ思いますし、周りの方々にも心から感謝しています。
なれそめですか?
その前に、少し遡って、自分のこれまでをお話したいと思います。
◎自然の中でのびのびと育った幼少時代と都会への憧れ
私の生まれは、山と川しかない近畿地方の小さな田舎町です。小さな頃は、毎日暗くなるまで外で遊び、夏は川で泳いでばかりの子どもでした。家のまわりにはコンビニもなく、当時は信号もありませんでした。猿や鹿が当たり前に出没し、小学生の時には熊出没情報まであったほど。日が暮れるとあたりは真っ暗になり、夜空にまたたく星が見事です。世の中に携帯電話が出回り始めたときも、実家に電波が届いたのは、もっともっと先のことでした。
バスで40分程度走ると小さな市に入るのですが、高校はさらにそこからバスを乗り換えて20分。日々の通学は本当に大変でした。最終バスは18時過ぎで終わってしまうので、クラブ活動にも参加できず、帰宅部で高校3年間を過ごしました。この頃から、漠然と東京に行きたいと思うようになりました。東京はなんだかキラキラしていて、素敵なお店もたくさんあって、雑誌やテレビで見た素敵な場所にいつでもいける環境が、田舎育ちの少女にとっては、羨ましくて仕方なかったのです。
ちなみに、子どものころは田舎の良さがわかりませんでしたが、大人になったいま、緑と水に囲まれた故郷の豊かさを身に染みて感じるようになり、たまに帰省すれば両親や兄弟、かわいい甥や姪たちと賑やかに過ごしています。
◎高校受験にひとり落ちて、やむなく商業高校へ入学
当時、私が住んでいた地域の中学卒業後の進学先といえば、普通科の高校、商業高校、私立の女子校の3択でした。周囲にも、まず大丈夫だろうと太鼓判を押され受験した普通科の高校に落ちたとき、真っ先に思ったことはショックというより、「え、落ちるとかあるの?これから私どうなっちゃうんだろう?」でした。
小さな田舎の中学校ですが、これまで高校受験に失敗した人の話なんて、耳にしたことはありませんでした。その年も、一緒にバスに乗り合格発表を見に行った同級生たちの中で、希望の高校に落ちたのはただひとり、私だけ(!)でした。
結局、二次募集をしていた商業高校を再受験し、入学することになりました。これが、私にとって、人生で初めて味わう挫折になったわけですが、完全になりゆきで入った商業高校で、「簿記」の資格を得ることができました。この簿記資格が、その先の自分の人生の基盤となり、経済的にも精神的にも支え続けてくれるものになろうとは、その時は思いも寄りませんでした―――。(②につづく)
構成 / 権 佳恵
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