在パリ6年のクウネル・サロンメンバー松永加奈さんのフランスレポート。「アムールの国」として知られるフランスですが、愛の形も多様で多彩。年上女性に年下男性というカップルや、男性の年齢が親と同じくらいなんていうカップルもポピュラー。「年齢に縛られない」恋愛事情について教えていただきました。
恋愛にアグレッシブなアムール大国、フランス。先に書いた「出会いに対する(超)前向きな姿勢」や「多様な結婚制度」で、人々は年齢や他人の目に捕らわれない”自分たちの愛の形”を貫いています。
”高校の同級生の母”と結婚した大統領のアムール
フランスでこの話題になると、一例として挙げられるのが、現フランス大統領エマニュエル・マクロンの妻ブリジット。彼より24歳上の高校時代の恩師で、今から14年前、ブリジットが54歳の時にマクロンと再婚しました(マクロンは初婚)。ちなみに彼女には3人の子供がいて、そのうち1人はマクロンの高校の同級生。つまり、彼はクラスメイトの母親を好きになって猛烈にアタックし、17歳のときにプロポーズしたのだそう。しかし当時、ブリジットは既婚者でマクロンは未成年(しかも教師と生徒)。いくら恋愛至上主義のフランスとはいえ、さすがに周囲からの風当たりと反対は強く、長い年月と紆余曲折を経て、ブリジットの離婚が成立した翌年(2007年)に2人は結婚。現在も夫婦関係は良好で、彼女は大統領夫人として存在感を放っています。
大統領夫妻のドラマチック(?)なストーリーは特例ですが、私の周りでも女性が年上のカップルの話はいろいろ。友人のパパは自身より年上の女性と不倫…いや、フランス流にいえば”新しい恋”をして再婚。年下だったママはプライドを傷つけられ、離婚後はかなり年下の男性とばかり付き合っているとか。また、15歳ほど年上の女性と交際している男性曰く、彼女自身が持つ魅力に惹かれたので「そもそも年齢には興味がなかった」のだそう。
情熱だけでは乗り越えられない課題も
どちらのケースも「年齢に縛られない」という恋愛観が垣間見えます。もちろんその逆の「男性がすごーく年上」というカップルはとても多く「親子かと思ったらパートナーだった」ということもよくあり、多様な結婚制度と恋愛に対する考え方が存在するフランスでは、カップルの関係性を勝手に判断はできないし、してはいけない(する必要もない)なと思います。
ただ、現実的に2人の将来を考えたとき、女性がかなり年上の場合は子どものこと、そして男女どちらであっても家族のこと、老後のことまで、情熱だけでは乗り越えられないさまざまな課題があるのも事実。最終的には、双方納得の上でベストなパートナーシップを選択する…というのはどの国でも同じかもしれません。
そもそもフランスでは「恋愛は個人的なこと」という考え方で、誰かの惚れた腫れたは、周囲にとっては他人ごと。私が知る限り、例えどんなに年が離れていようが、すったもんだがあろうが、本人たちも周りの目を気にしていない様子です(本当に実際のところは分かりませんが)。ちなみに、人としての魅力を重視しして「女性を年齢で判断しない」「年齢を重ねた女性は魅力的」という男性は多い印象ですが、一部で囁かれている(?)「フランスでは年上の女性がモテる」ということは…うーむ、絶対とは言い難いような…。