暮らしぶりもスタイリッシュ!女性のロールモデルを描き続けた森 瑤子の【かっこよく生きるための言葉】
それぞれの時代で輝き、「かっこいい女性の生き方」を私たちに見せてきてくれた作家・森 瑤子。自分の足で立ち、新しい道を切り拓いてきた彼女たちの言葉は力強く、示唆に富んでいます。改めてその生き様を振り返り、潔い言葉の数々を味わいましょう。
PROFILE
森 瑤子/もり・ようこ
作家
1940〜1993
1978年に『情事』で第2回すばる文学賞を受賞しデビュー。イギリス人の夫を持ち、西洋的な生活様式や海外の風景を舞台にした小説、エッセイを数多く出版。52歳で急逝するまでの約15年間で100冊を超える著作を刊行。『指輪』、『夏の終り 情事ほか』『デザートはあなた』(すべてハルキ文庫)など、近年、著作が復刊され注目を集める。
ディテールを重ねて描くのは自由を楽しみ自立した女性像。
日本が「もっと上へ」と沸き立つ1980年代。女性たちが「こうありたい」とロールモデルになる像を描き続けた作家の森瑤子。都会で生きる女性たちが、何ものにももたれかからず、自分らしさを貫き、美しいものやおいしいものに囲まれて人生を謳歌する様子は大勢の憧れとなりました。
ときに「読むシャンパン」と評された小説やエッセイには、キラキラとしたキーワードがちりばめられ、それはまるで当時の「素敵」のショーケースのよう。イギリス人の夫を持ち、与論島やカナダの島にある別荘で避暑をして、休暇となればシンガポールの〈ラッフルズ・ホテル〉やはたまたウィーンにオペラを観に……、と自身の暮らしがスタイリッシュそのもので、読者をうっとりさせるのには十分なのでした。
ただし、華やかで粋なだけでは、移ろいやすい人の心はすぐに離れてしまうもの。華やかな物語やエッセイの底には「女として、個人としてどう自立し、自分の美学を貫くか」というテーマが据えられていました。
いま私たちが模索し続ける「歳を重ねる楽しみ」も大切にしていたこと。エッセイ『人生の贈り物』のなかで自身の50歳の誕生パーティーについてのエッセイから清々しい一節を最後に紹介します。
——四十歳の時には持てなかったものが、たくさん持てるようになっていた。物質的な意味もあるが、友情の深さ、人間関係の質と幅、それに私自身も、四十歳の時より、確実に白髪も増えて皺も増えてはいるが、今の方が、はるかに良い表情をしているではないか。——
自宅でくつろぐ森。『クロワッサン』(1987年8/10号)に掲載。写真/マガジンハウス
森 瑤子が残した言葉。
若いうちから「自立のエクササイズ」というエッセイ。実家住まいから結婚して夫のもとへ……の流れで自立しないまま、子育てが落ち着くころに壁にぶつかったら大変よ、と説く。
大失恋で自暴自棄になっていたとき、「自分を嫌いな人間を誰が好きになるのか?」と気づいた。それから、暮らしを整え、自分自身に手をかけるようになり、変わったという話。
自身の講演会で聴衆の笑顔が不思議で理由を聞くと、鏡の前で笑顔の練習をしているという。幸せだから笑うのか、笑うから幸せなのか? ならば「笑いから始めた方が簡単」と。
久しぶりのクラス会で自分も含め「老け」を感じ、抵抗を試みたというエッセイ。普段着をやめ、家でも、絹のブラウスにタイトスカートを選ぶと書かれている。
『クウネル』2026年7月号掲載
取材・文/鈴木麻子
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『クウネル』NO.139掲載
これからを生きるための「言葉の力」。
- 発売日 : 2026年5月20日
- 価格 : 1,080円 (税込)