祇園祭から白洲正子、京都の異界まで……「ふたば書房 御池ゼスト店」が選ぶ【京都本】
京都の書店が選ぶ、旅をより深めるとっておきの本。「ふたば書房 御池ゼスト店」児童書担当・鄭 智星(ちょん・ちそん)さんにセレクトいただき、お話を伺いました。
小さな発見をもたらし、 いつもと違う京都を味わってほしい。
選書してくれた人
児童書担当 鄭 智星さん
京都市育ち。2022年に入社。担当する児童書のコーナーでは子どもだけでなく、大人も楽しめる絵本も。趣味は刺繍。お気に入りの読書スポットは三条河原町の「喫茶葦島」や「深夜喫茶/ホール多聞」など。
知っている風景でも、読むことでいつもと違う京都を感じ取ってもらえるような本を選びました。祇園祭の歴史だったり、絵で旅する京都、歴史や文化にフォーカスしたもの、京都の異界、とそれぞれ性格は違いますが、もし京都に関する本で本棚を作るなら?で、考えました。
『洛中洛外春夏編』は観光地になる前の京都の雰囲気が、安野光雅の絵だからこそ味わえる素朴で静かな空気感で描かれています。
『洛中洛外 春夏編』
安野光雅
「大人の読書好きにも人気のシリーズ。静かで凛とした京都が感じられる本ですね。安野さんの祇園祭の絵もとても素敵です」。産経新聞で連載されたエッセイと絵を収録。秋冬編も刊行。産経新聞出版
京都のメジャーな場所以外も丁寧に書かれた『白洲正子が愛した京都』、怖いもの好きとしては『京都異界めぐり』もおすすめです。
『白洲正子が愛した京都』
白洲正子 牧山桂子ほか
『白洲正子と歩く京都』の増補版。「丁寧な文章が心地よく、写真も美しい。京都の自然の美や雅なムードを感じられると思います。読後、紹介されているスポットに行ってみたくなることでしょう」。新潮社
『京都異界めぐり』
朝里樹
「個人的に怖いもの好きで、これは怪談と伝承がまとめられた本。洛中と洛外、鬼、天狗など京都の裏側にワクワクします。怖さだけでなくロマンも感じます」。“ 異界”のテーマごとにルートを紹介。エクスナレッジ
また、『祇園祭温故知新』は関わっているかたたちがどんな思いで 祭を支えてきたのかがよく分かる一冊。祭の華やかさだけでなく、現在に至るまでの歴史が綴られていてまさに温故知新。山鉾巡行の時は、ちょうど店がある御池通に鉾が通るので休憩時間に観に行きますね。
『祇園祭 温故知新』
京都市文化市民局文化財保護課
現在の形になるまでの祇園祭史をさまざまな角度からわかりやすく解説。「山鉾巡行の経路が今と昔は違うなど、興味深い内容が満載。京都人でも知らないことが紹介されている、学べる本です」。淡交社
他には、グレゴリ青山の『京都もっと深掘りさんぼ』も人気です。漫画エッセイで、河井寛次郎記念館など有名なスポットだけでなく、地蔵盆や祠について、細かく描かれているところも面白い。
選ばせてもらった本は、どれも街への解像度が上がるというか、読後、ただ街を歩いているだけでも、いつもと違った京都が見えてくるかもしれません。
SHOP DATA
ふたば書房 御池ゼスト店
住 : 京都市中京区下本能寺前町492-1 ゼスト 御池地下街
営 : 10:00~ 21:00
休 : 無休
御池通の地下ショッピングエリア内の総合書店。文芸からビジネス書まで幅広く取り扱う。
HP
『クウネル』2026年9月号掲載
取材・文/中村悠介、編集/河田実紀
SHARE
『クウネル』NO.140掲載
旅を深める本76冊と歩く、京都。
- 発売日 : 2026年7月17日
- 価格 : 1,080円 (税込)