最新研究でわかった、体にいい食べ方&エイジングの新常識。【新・養生訓/後編】
江戸時代、儒学者で医者の貝原益軒が83歳のときに健康・長寿のための心得を記した『養生訓』。それから約300年以上が経ち、医学も目覚ましい進歩を続け、新しいエビデンスも次々と発表されている今、クウネルで現代版『養生訓』をつくってみました。
目 次
新・養生訓8_頑張りすぎると”死んだふり現象”が起こる?
頑張りすぎた挙げ句、人は動きを止めて凍りつく。作業療法士でユークロニア代表の菅原洋平さんは次のように言う。交感神経が過剰に働いてバーストすると、「フリージングという“死んだふり現象”が起こります。これにはふたつ種類があって、上司とのトラブルなど恐怖で動けなくなるケースと、安定した地位にある人がふと“自分の人生は何だったんだろう”と感じ、停滞して動けなくなるケースがあります」(『Tarzan No.858 自律神経セルフケア』/小社)。社会的な繋がりを持ったり、周囲の人間に感謝されることで蘇生するケースも。
新・養生訓9_約100種類の腸内細菌が増える
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所・副所長の國澤純さんたちの研究によれば、60人の被験者に茶碗1杯のもち麦を毎朝食べてもらったところ、「腸内細菌が平均で約100種類増えることがわかりました」(『9000人を調べて分かった 腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険』/日経BP)と著書に記す。今や腸内細菌は善玉・悪玉という次元を超え、多様性こそが健康効果をもたらすと言われている。そのために毎日食べる主食は発酵性食物繊維が豊富な穀物がベター。毎日食べることで多様な腸内細菌をキープすることが大切だ。
新・養生訓10_座りすぎ姿勢が寿命を縮める!?
「座りすぎ姿勢で最も悪影響を受けるのが、尻の臀筋群。(中略)“人間は脚から衰える”と言いますが、現代生活でば“尻から衰える”と言うのが実情に近い」(『Tarzan No.849 座りすぎが寿命を縮める!」/小社)と話すのは、トレーナーの澤木一貴さん。お尻の筋肉の役割は骨盤と太ももの骨を繋いで股関節を動かすこと。長時間の座り姿勢では股関節や骨盤の動きは制限されるので、臀筋群は衰えて当然。その結果、パッと立てない、腰が重だるいといった不調はもちろん、放置すれば感染症やうつなど心身の病のリスクが高まる可能性もあるという。
新・養生訓11_コーヒーを飲むなら自宅やカフェで
リラックスタイムのお供はコーヒーという人は少なくない。でもその際は、缶コーヒーやペットボトルのコーヒーは避けたいところ。腎臓専門医で埼友八潮クリニック(内科・腎臓内科・人工透析)院長の高取優二さんによれば、「腎臓にとって一番気をつけたいのは添加物なので、コーヒーを飲むなら自宅やカフェで、フレッシュやガムシロップを使わずに飲むのが正解」(『Tarzan No.916 肝臓・腎臓・膵臓』/小社)とのこと。香料や添加物などは近年急増している慢性腎臓病のリスク因子にもなる。コーヒーは豆から挽いて飲みたいもの。
新・養生訓12_慢性的な不眠の救世主
世界一睡眠時間が短く、国民の約2割が慢性的な不眠に陥っている日本人。アメリカでも不眠は問題視されているようで、すなおクリニック-スリープ・メンタルヘルス総合ケア院長、内田直さんは著書で「アメリカの睡眠財団のホームページに、睡眠のためのよい食事の内容についての記載があります。その中では、キウイ、タルトチェリー(酸味の強いアメリカンチェリーの一種)、麦芽乳、青魚、ナッツ、米類などが睡眠の改善に役立つと示されています」(『小説みたいに楽しく読める睡眠医学講義」/羊土社)と述べている。参考にしたい。
新・養生訓13_老化を加速させる“もらい泣き現象”とは?
近年の老化研究で分かってきたことは、生活習慣や環境による酸化や糖化の影響を受け、一部の細胞が老化細胞に変化するということ。アンチエイジングの専門家、銀座上符メディカルクリニック院長の上符正志さんによれば、さらに「老化細胞がゾンビのように居座ってしまい、周りの細胞を誘い込んでさらに老化を進めてしまうのです。一人が泣くと周りのみんなが泣く“もらい泣き現象”です」(『Tarzan No.902 顔は変わる。顔は若返る。』/小社)とのこと。ここ数年の研究で老化細胞自体を除去する薬剤の開発が進められている。
新・養生訓14_薬物療法よりも効果的なストレッチ
体が硬い人はよく“生まれつきだから仕方ない”と口にするが、フィジカルトレーナーでスポーツモチベーション最高技術責任者の中野ジェームズ修一さんは、この言い訳を真っ向から否定。生まれつき体が硬いわけではなく、「ストレッチには硬く縮んだ筋肉の柔軟性を取り戻す作用があり、一説には、筋肉の緊張を緩和させる薬物療法よりも効果的とまで言われています」(『世界一伸びるストレッチ』/サンマーク出版)と著書に記述したとおり、誰でも柔軟性を取り戻せる可能性があると述べている。継続すれば80代の高齢者でも柔軟性は保てると太鼓判。
新・養生訓15_40代以降は常食しないほうがいい
「超加工食品には人体にとって未経験の物質が含まれています。(中略)カロリーが表示されていても、それを上回るインパクトでどんどん太っていく可能性があるのです」(『Tarzan No.859 40代からの体脂肪の落とし方。』/小社)と言うのは、琉球大学大学院医学研究科教授の益崎裕章さん。超加工食品(ウルトラプロセスフード)とはスナック菓子やレトルト食品、インスタント食品など。未経験の物質の栄養組成を脳が分析できないことが原因ではないか、というのが益崎さんの見解。とくに代謝が低下していく40代以降は常食しない方が無難。
『クウネル』2026年7月号掲載
イラスト/浦野周平、編集/河田実紀
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