面倒な家事や料理を楽しくするコツ。一田憲子さんが続けている「前向きマインドの作り方7」

一田憲子さん

先々のことを考えて不安になったり、迷ったり。ついネガティブになりがちな心を前向きにする、日々の暮らしの工夫を編集者で文筆家の一田憲子さんに伺いました。

日常の中で楽しくなる 小さなことを積み重ねて。

「昔から優等生タイプで失敗したくない気持ちが強く、心配性で悲観主義。〝悪いことが起きるかも〟と先に予防線を張って安心材料にしていたので、ネガティブに考えるクセがあって」と語る一田憲子さん。

50歳をすぎた頃、「心配し続けてばかりで残りの人生、いつ楽しめるのだろう?」と焦りを感じ、〝明るい方へ手を伸ばす練習〟を始めたそう。

「日々、いいことも悪いことも起きるわけですが、不安や暗い気持ちに目を向けるのではなく、希望のある方、楽しい方を向く。たとえ仕事がうまくいかなかった日でも、おいしいごはんを食べて幸せ、と感じることはできるでしょう? そういう暮らしの中の小さな〝いいこと〟にフォーカスするようにしたんです」

無理にポジティブになろうとしても、できないと自分にダメ出しをして結局、うまくいかないと一田さん。

「自分の性格を変えるとか、能力を伸ばすためにはパワーが必要なので、ものの選び方や家事のやり方を工夫して環境を変えた方が手っ取り早い。頑張ろうという意志の力がなくても、自分が楽しくできること、心地よくいられることを見つけて仕組み化しました」

1_毎日の拭き掃除はオーディオブックで楽しく

一田憲子さん

「面倒な家事はとにかく楽しいこととセットで。自分をごまかして“掃除やっているぞ感”をなくす! 最近のオーディオブックは大物俳優やアナウンサーが朗読している作品も多く、映画を聴いているような没入感が」

例えば毎日の掃除は、オーディオブックを聴きながら。「家事は楽しいこととセットにすると楽しい方に引っ張られて、面倒で嫌だな、と思うことがなくなりました。むしろ続きを早く聴きたくて、それ目当てに掃除することも」

2_料理は「蒸す、焼く、和える」だけでいい

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「夕食はとにかく簡単なものを。特に蒸し料理は材料をせいろに放り込んで蒸すだけで1品できちゃうので、せいろはほぼ毎日活躍。写真は豆乳を入れた豆腐とナスの蒸しもの。塩とごま油だけで最高においしい!」

料理も調理が簡単な「蒸す、焼く、和える」が基本です。

「仕事をしながら毎日メニューに悩んだり、あれこれレシピを見たりするのは結構なストレスに。だったら手間をかけず、作り慣れたものを10品くらいルーティーンで作った方がいい。飽きない?と思うかもしれませんが、変化を求めた挙句まずくて落ち込むよりは、確実においしいとわかっているものを食べた方がハッピー。時間があれば新しい料理も作りますが、日々のごはんはそれで十分満足」

3_大皿に盛り付けて洗い物を減らす

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「一人ずつ盛り付けるとお皿をセッティングするだけでもひと仕事。洗い物や片付けの手間も増えるので、我が家は大皿でポンと出すスタイルに。若い頃に頑張って買った作家ものの器やカトラリーを楽しんでいます」

4_定番アイテムでおしゃれを“制服化”

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「自分に似合う定番を持っておき、アクセサリーや小物で変化をつければおしゃれはぐんとラクに。襟ぐりやストンとしたシルエットが気に入った『ジョン・スメドレー』のニットも定番。気に入った服は2色買いします」

おしゃれも自分に似合うものを定番化したら服に悩むことがなくなったそう。

「若い頃はいつも違う服を着ていないとおしゃれじゃない!と思っていました。でも、おしゃれな先輩たちに聞くと、似たような服ばかり着ているとおっしゃるんですよ。それがかっこいいことがわかって、おしゃれを〝制服化〟しました」

5_趣味のテニスで仕事以外の軸を持つ

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「レッスンはスクールとプライベートで週2回。以前なら仕事を後回しにして遊ぶなんてありえなかったのに、今は締め切り前でもレッスンに行くほど。仕事から切り離してくれる楽しみができて気持ちにもハリが」

5年前から続けている趣味のテニスも前向きな気持ちを後押し。

「心理カウンセラーの先生に、『一田さんは365日24時間仕事のことを考えているから、別の柱になる趣味でも見つけたら?』と言われたんです。学生時代に軟式テニス部だったので軽い気持ちで硬式テニスのスクールに通い始めたら、うまくできなかったのが悔しくて。負けず嫌いが高じてどっぷりはまってしまいました。練習中はひたすら汗をかいて仕事のスイッチも完全オフに」

6_1日5分、楽しいことを思い出す

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「毎朝ストレッチしながら、ネガティブになりがちな自分を明るい方へマインドセット。映画に行く、誰かに会うなど何でもいいから1個、意識して楽しいことを思い出すと、1日がハッピーにスタートできます」

7_家事をラクにする道具選び

一田憲子さん 前向きマインド作り方

「今までは掃除道具のある風景も美しく!と思っていましたが、体や気持ちを優先したら、見た目のこだわりを手放せました。お気に入りは『激落ちくん』のモップ。かがまなくても手が届くのでお風呂掃除が楽ちんに」

ポジティブとは「同じ道の光が当たっている場所を歩くこと」と一田さん。

「その光の当たる明るい方を渡り歩いていけば、自分をワクワクさせてあげることができるんじゃないかと思います」

PROFILE

一田憲子/いちだ・のりこ

文筆家

「暮らしのおへそ」「大人になったら着たい服」などの企画編集のほか、暮らしまわりを中心に執筆。『明るい方へ舵を切る練習』(大和書房)ほか著書多数。ウェブマガジン「外の音、内の香」主宰。

『クウネル』2025年11月号掲載
写真/玉井俊行、取材・文/矢沢美香

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