野菜の炒めもの名人になるコツは?料理家ウー・ウェンさんが「炒めもの」をおすすめする理由

野菜がたっぷり摂れる炒めものは「温かいサラダのようなもの」とウー・ウェンさん。 素材の特徴や調理法のポイントを知れば、炒めものは劇的においしく、深くなります。

PROFILE

ウー・ウェン

料理家、ウー・ウェンクッキングサロン主宰。中国・北京生まれ。’90年に来日。’97年にクッキングサロンを開設し、医食同源に根差した中国家庭料理を伝える。『10品を繰り返し作りましょう』(大和書房)、『ウー・ウェンの煮もの あえもの』(高橋書店)など著書多数。

シンプルなのに深い味。 私が炒めものをおすすめする理由。

中国・北京から来日し日本で家族を持って33年。主宰するクッキングサロンで、中国の家庭料理を教えてきたウー・ウェンさん。餃子や餅などの小麦粉料理、蒸し物、和え物など、多様な料理を伝えてきました。なかでも炒めものは、そのコツを知ってほしい、大切な調理法のひとつです。

「野菜をたくさん食べられるから体にもよく、おいしい調理法ですからね」

けれど、これが意外に難しい。野菜から出た水分で全体がべちゃっとした仕上がりになったり、強火でさっさと炒めなくてはと思っているうちに焦がしてしまったり。

「炒めものは皆さん、具材を全部鍋に入れて強火で炒めればできると思っているかもしれないけれど、それは全然違うんです」

大切なのはそれぞれの料理に合った具材の切り方、火の入れ方。炒める前に、材料や使う調味料、油をすべて用意して、料理にとりかかること。

「左ページの小松菜の炒めものは、料理の前に小松菜に軽く塩をまぶすことがポイント。少し時間をおくことで、小松菜から余分な水分が出てきて、かさが減ります。野菜が扱いやすく、熱が回りやすくなるんです。ちょっとしたコツを知れば、みなさんも炒めもの名人になれますよ」

まずは基本の基本、青菜の炒めものをおいしく作る。

余熱によっても火が入る。小松菜炒めもその時間を逆算して仕上がる少し前に火を止めて盛り付ける。

「小松菜の塩炒め」の作り方

ほんのりねぎの香りをまとった小松菜、しゃきしゃきした食感もちゃんと残っています。味を強くしたかったらオイスターソースを使ってもいい。

◎材料(2人分)

小松菜1束、長ねぎ(斜め薄切り)10cm分、粗塩小さじ1/4、太白ごま油大さじ1、 黒こしょう少々

◎作り方

①小松菜は根を切り落とし、3㎝長さに切る。ボウルに入れて粗塩を加え、底から手でふわっともちあげるように全体を混ぜて、そのまま10分おく。

②炒め鍋に太白ごま油と長ねぎを入れて中火にかけ、香りがたったらを加える。 全体に油がなじむように炒めてしばらく待ち、上下を返す。しんなりとなる直前で火を止め、黒こしょうをふる。

ねぎ油が決め手 薄く切ったねぎを油が冷たいうちから加熱して、ねぎ油を作る。ねぎの香りが炒めものに奥行きを演出。「しょうがやにんにくよりクセがないのがいいです」

塩を賢く使う 小松菜は調理前に塩をしてから炒める。次ページのトマトは仕上げに塩をふって余分な水分が出ないように。調理の要の塩は素材を見きわめて使い分ける。

『クウネル』2023年7月号掲載 写真/公文美和、取材・文/船山直子

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『クウネル』No.121掲載

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