パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。第9回目は荻野さんが美食の都・リヨンの名物「クネル」をご紹介。「クウネル」とも名前が似ている「クネル」は魚料理なのだそう。
リヨンに来たなら絶対に食べてほしい!
クウネルみたいな名前のリヨン名物〈クネル〉。
先日、仕事でリヨンに1泊旅行をしてきました。パリから直通のTGVに乗ること2時間。あっという間に到着しました。リヨンといえば、シャルキュトリーやパテのパイ包みなど、お肉を使った名物料理から、2018年に91歳で亡くなった名シェフ、ポール・ボキューズをはじめとするガストロノミックなフランス料理まで、古くから美食の都として知られています。
だから、たとえ弾丸旅行であっても、おいしいものを食べずに帰るわけにはいかない!ということで、今回もお目当ての大好物を頂いてきました。
訪れたのは、鮮やかなレッドが映えるお店
「Le Bouchon des Cordeliers」
リヨンには「ブション」と呼ばれる伝統的なスタイルのビストロが数多くあり、昔と変わらぬ名物料理を味わえるのですが、数あるメニューの中でも、私が必ず食べるのが「クネル(Quenelle)」という魚料理。
この地方で獲れるカワカマスのすり身を使い、小麦粉や牛乳、卵などと混ぜ合わせて円筒形にまとめたものをクネルと呼びます。湯がいたクネルにソースをかけて、オーブンでこんがり焼いていただくのですが、そのスフレのようなフワッフワな食感がたまりません。大きさに圧倒されますが、案外ペロリといけちゃいます。
クネルにかけるソースは、ザリガニの殻と香味野菜を炒めて生クリームを加えたオレンジ色のナンチュア・ソースと昔から決まっています。付け合わせはライスが一般的。庶民的な味わいですが、食べるたびに、クセのある川魚をおいしく楽しむための知恵と工夫が詰まった逸品だなぁとつくづく感動します。
色々なお店でクネルは食べることが出来ます
もちろん、パリでもクネルを食べられるレストランもありますし、普通のスーパーでも見つかるのですが、リヨン出身の人たちは口を揃えて、「本物の味じゃない」と言い切ります。確かに、リヨンで食べるクネルは別格なおいしさなんですよね。
ちなみに、年末になると普段買わないクネルを買い求める在仏日本人が増えるのは、おせちの伊達巻きを作る際に、はんぺんの代わりになる!という評判があるから。私は未体験ですが、次のお正月はトライしたいと思っています。
Landscape photography
美しいリヨンの風景
写真・文/荻野雅代
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