46歳で10歳年下の夫と結婚したカナリアさんの話③―――「失うものはなにもない」私に人生最大の奇跡が起きた。

カナリアスタイル_男女の足元

43歳バツイチ。持っているものといえば、OL時代にコツコツ貯めたわずかな貯蓄と、簿記資格、そして健康な体のみ。ならば失うものはなにもないと、身ひとつで再び東京の地を踏んだcanaria_rs(カナリア)さんですが、そこで彼女を待っていた運命とは―――。 ※前回までのお話もあわせてご覧ください


◎手に職を求めて、久々の就職活動をスタート
長く暮らした大阪からの引っ越し作業は、あっという間に終了。上京後、まず、WEBデザインを学ぶための学校に入学しました。そこで最低限の基礎知識を習得……までは良かったのですが、そこからが大変でした。43歳・業界未経験(素人)の再就職が、スムーズに進むわけもありませんよね。前の会社から案内された派遣会社の担当さんには「経理であれば今すぐ紹介できます」と、何度も言われたのですが、それでは退職した意味がありませんから、歯を食いしばりました。
そして、どのくらい経った頃でしょう。無鉄砲な就活がようやく実を結び、とある小さなデザイン事務所が雇ってくれることになったのです。ただし、条件がありました。その会社は、デザインを学ぶためのスクールも経営していて、その学校事務や運営を手伝いながら、WEBデザイナーの見習いとして働いてもらいたい、ということだったのです。

カナリアさん_東京の夜景
再上京から一週間、荷物の片付けも終わり、新居の窓から撮った一枚。「ワクワクドキドキする高揚感と、この先どうなるんだろうという不安が波のように寄せては引いて、遠くにぼんやり光る東京タワーをただ見ていました」

◎新天地で訪れたまさかの展開
新しい職種の新しい職場は、まさに驚きの連続でした。 事務所にはいつも、ラジオと自由な空気が流れ、朝はなんだかみんな眠たそうにしています。 見習いの立場である私のお給料は、当然これまで勤めたどの会社よりも圧倒的に安く、休日は週に一日のみ。 貯金を切り崩して、どうにか日々をしのぐような生活でした。
そんなある日の夕方、事務所で仕事の傍ら学校の課題に取り組んでいたときのこと。 IllustratorとPhotoshopがうまく使えず、パソコン前で何時間もフリーズしていた私に、たったひとりだけ気付いてくれた人がいました。 スクールの講師を務めていたその人は、自分の休憩時間を丸ごと使って、懇切丁寧にやり方を教えてくれ、終わるとすぐにまた次の学校説明会に向かっていきました。 その後ろ姿を見て、なんて優しい人なのだろう、と思いました。 そのときの彼が、後の夫です。

当時は、本気の本気で、好きでいられるだけで幸せ、そんな風に思っていました。 それがどういうわけか、同僚の先生方の計らいもあって、少しずつ彼との距離が縮まり、たまにプライベートで食事に行くような間柄になりました。 そうして気が付けば、交際することになり、そのままトントン拍子で、結婚することになったのです。 誰ひとり(もちろん自分も)予想していなかったまさかの展開に、実家の家族や友人、大阪時代の同僚たちは皆ひっくり返らんばかりに、驚き、驚き、驚き……。 その後は、まるで自分のことのように喜んでくれました。 弟からは「奇跡やぞ!!46歳で36歳の若くてイケてる旦那と再婚できるなんて、人生最大の奇跡やぞ!!!」 と、電話口でひたすら称えられた(?)ことを、覚えています。

夫の元同僚であり、仲良しの友人夫妻から贈られた手作りパン。「あれやこれや芸能リポーター並みの質問攻撃には参りましたが、気持ちのこもったプレゼントに胸が熱くなりました」

結婚式は挙げるかどうか、最後まで迷ったというカナリアさん。「どうせ挙げるなら!と、図々しいついでに、お寺では白無垢を、その後の披露宴ではシンプルなウェディングドレスを着させてもらいました。心配をかけ続けてきた両親や友人たちが、自分事のように泣いて笑ってくれたのが、なによりの思い出です」

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◎年の差について。 そして、家族の形について思うこと
じつは、交際当初、自分の年齢やこれまでのことを彼に伝えていませんでした。 正確に言うと、どうしても、言えなかったのです。 十数年ぶりに異性に思いを寄せて、またその人も奇跡的に自分のことが好きだと言ってくれたのに、10個も年上のバツイチおばさんだと告白したとたん、あっという間に夢が冷めてしまうような気がして、怖かったのです。 「別に聞かれていないから言っていないだけ」。 そんな風に自分で自分をごかましながら、年齢のことはともかく、せめて離婚歴の過去だけでもなかったことにできないか…… と、考えたりもしました。 そんなこと、できるはずないんですけどね。
結局、うじうじ悩んでいる自分にも限界が訪れ、腹を括って、年齢のこと、結婚していた期間があること、離婚の原因などをすべて正直に打ち明けることにしました。すると、なんと彼は「知っていたよ」と、にこやかに言うではありませんか。 どうやら、同僚の先生たちから、それとなく聞いていたようなのです。 彼は、私の過去を問題ではないと言い切り、10歳というキリの良い年の差を、むしろ気に入っている様子でした。

ただ、それでも、「ハイ、ではすぐ再婚を」とは、なりませんでした。 幸か不幸か、私も彼も、大の子ども好きでした。優しい彼の人柄を知れば知るほど、彼の年齢であれば、私じゃない人を選んで結婚すれば、子どもに恵まれるかもしれないと思うようになりました。仮に、彼は良くても、故郷で暮らす彼のご両親はどうでしょう。 立派に育て上げ、東京で活躍する息子がある日彼女を連れてきて、でもそれは離婚歴のあるうんと年上の女性で、孫の顔を見ることは叶わないかもしれないとわかったら。 自分だったら、手放しで、ウェルカム! と言えるでしょうか。
どこにも答えのない問いが、寝ても覚めても、頭を巡りました。

あれから6年。
コロナ禍の2021年、私は52歳で夫は42歳になりました。年齢差と一度目の結婚のことは、いまや親族一同の間ですっかりネタとなり、笑い話に変わりました。
きっと、胸中複雑な思いを抱えていただろう義両親に初めて会ったとき、私はほとんど話せませんでした。自分に自信がなくて、申し訳なくて、なにかを言えば涙がこぼれ落ちそうだったからです。すると義両親は、まぁまぁと、まるで小さな子どもをあやすように、甘いお菓子を次から次へと出してくれました。そんな包み込むような優しさで、ありのままの私を受け入れてくれた家族との出会いもまた、私に訪れた人生最高の奇跡です。
そして、「年齢関係なく、結婚したからといって、子どもを授かることは当たり前のことではないよね。将来、子どもがいないならいないで、夫婦二人の人生を楽しんでいこう」と、言ってくれた夫を前に、だいぶ遅咲きだったけど、この年まで生きてきて本当によかったなぁ、と思うのです。 (につづく)

カナリアさん_男児を膝に抱える男性
甥っ子(カナリアさんの妹の子ども)を、我が子のように膝に抱える旦那さん。 「結局、子どもには恵まれませんでしたが、ふたりとも互いの甥や姪に全力で愛を注ぎ、たまに嫌がられています(笑)」

構成 / 権 佳恵

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6)46歳で10歳年下の夫と結婚したカナリアさんの話①―――高校受験にただひとり失敗した日のこと。
7)46歳で10歳年下の夫と結婚したカナリアさんの話②―――憧れの東京ライフ。そして、自分探しの旅の果てに。

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