事業を手放し仏道を選んだ、元・年商100億円のIT社長が語る「お金の本質と幸福」の深い言葉。【Vol.2小野龍光さん】
古今東西、語られ続けているお金と幸せの考察。それだけ人生の命題といえるのかもしれません。戒め、寄り添い、伴走してくれる言葉の数々から、その実感を伺います。今回、語ってくださるのは、実業家から仏教の道へ転身した小野龍光さんです。
目 次
お話を伺った方
PROFILE
小野龍光/おの・りゅうこう
仏教徒見習 51歳
年商100億円を超えるIT起業家としての活躍から一転、2022年にすべての事業を手放して仏道へ。同年10月、インドで佐々井秀嶺上人のもとで得度を受ける。現在は自分なりの仏道にしたがい、日本やインドを中心に活動する。https://note.com/0ryukou
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あくまでもお金は道具。幸せの本体ではありません。このことは私自身が腹落ちした実感です。20年以上IT業界にいて、売上や名声を追うほどに心には足りない感覚が膨らむだけ。いつしか外向けの顔と本来の自分とのギャップに苦しむようになり、このままでは心が壊れてしまう……と会社を手放し、何者でもない生き方を選びました。
言葉1_お金は何かに役立てる手段にすぎない
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古代、アリストテレスが記した通り、お金は何かに役立てるための手段にすぎません。さらにデジタル化が進む今は金銭の実体は薄れ、基本的には概念のひとつです。
イスラエルの歴史学者ハラリも同じようなことを述べています。
言葉2_デジタル化の今、お金の実体はますます希薄に
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では、お金とどう向き合えばいいのでしょうか。
ブッダの言葉が示していますが、この言葉の意味を理解できれば随分と生きやすくなるはず。特に後半部分が核心でしょう。脳のしくみとして快楽と苦痛はシーソーのように現れる、つまり富や名声を得てもいずれ苦しみがやってきます。失う怖さやさらなる欲求……まさに以前の私です。
言葉3_富や名声を得ても、失う怖さ、さらなる欲求が
言葉4_欲は無限に湧きあがる
言葉5_ソクラテスの言葉
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ドイツの哲学者であるショーペンハウアーが書いた欲の無限さや、ソクラテスが語った徳と金銭の関係からも大切な気づきがありますね。私は今、このシーソーから距離をおくことができ、心が満たされた状態に近づけたように感じています。
言葉6_仏の道へ導いてくれた師の言葉
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このように生き方を大きく変えたきっかけには、師である佐々井秀嶺上人との出会いがあります。インド仏教の最高指導者として90歳を超えてなお、人々のために生きている方。「金もいらぬ、名もいらぬ、命もいらぬ。~」は佐々井上人の言葉です。他者に尽くすその姿に勇気をもらい、仏教的な生き方に導いていただきました。
言葉7_何事も考え方ひとつ
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直接的にお金に触れてはいませんが、幸せのヒントとして、古代ローマ時代の哲学者エピクテトスの言葉にも共感を覚えます。
実は私は、長年貧しい家で育ったという物語を自ら作っていました。見方を変えれば、相対的には恵まれた面もあったはずなのにこの考えに縛られていたんですね。
言葉8_本当の幸せとは?
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何事も考え方ひとつ、幸せもまた然り。相田みつをが綴ったように自分の心次第です。
本当の幸せとはお金や名声など外なるものではなく、知恵や共感力という内なるものを育むことにあるのではないでしようか。もちろん仏教は欲を否定していませんし、欲は生きる希望でもあります。"程よさ”が大切なのです。
言葉9_大切なのは心の豊かさ
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老子の今あるものに感謝する教え、「足るを知る者は富む」は誰しもに寄り添ってくれる言葉でしょう。真意は、ひとつの視点にとらわれず、複数の視点で見ることが心の豊かさを生むと伝えているのだと思います。
目まぐるしく変わる時代だからこそ、意識を自分の内面へ向けるよう、一日の中で呼吸を自覚する時間を作ってみてください。自然と〝今、ここにいる自分〟を感じて、心穏やかに過ごせると思いますよ。
『クウネル』2026年7月号掲載
イラスト/SANDER STUDIO、取材・文/薄葉亜希子、編集/矢沢美香
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