【住まいと暮らしvol.34】自分の心が動くものだけに、正直にー「um」デザイナー・上田真理子さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回のタカハシミチヨさんのバトンを受けてご登場いただくのは、「um(ウーム)」のデザイナー上田真理子さんです。

上田さんの暮らしのルール

1)親しい人からものを買う。
2)自分のしたいことに時間をとる。
3)良いものを手入れしながら長く使う。

京都に暮らし、グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、彫金という金属工芸の技法を使って、アクセサリーからカトラリー、ランプシェードなど、ありそうでなかった暮らしの日用品まで制作している上田さん。

「金属は耐久性も素晴らしい素材。手入れしながら、長く使えるものを作れたらと思っています。事務所と作業場は1階、住居が2階、3階に。好きなことを仕事にしているので、住まいと仕事を切り離すわけではなく、緩やかに繋がっているような暮らしです」

お子さんたちが成長して、生活スタイルも少しずつ変わってきたという上田さん。最近は、部屋に間仕切りをつけたり、壁紙を張り替えるなど、変化に合わせて少しずつ家の改装をしているのだそう。

「家を改装してくれる大工さん、庭の木を切る植木屋さん、野菜を運んでくれる八百屋さん……。身近にものを作る人が多いこともあり、気づいたら、木や革、陶器などの雑貨も、親しいお店や作り手のものがたくさんあります。親しい人の作ったものが暮らしのなかにあると、幸せな気持ちが続きます」

家も好きだけど、出歩くことも好き。意識して、自分のしたいことに時間を取るようにしているのだとか。

「京都以外での仕事も多いので、打ち合わせや展示のタイミングで、その土地に泊まってゆっくり過ごすことも。日々、あっという間に時間が流れていくので、自分の心が動くものだけは正直に行動したい。それは、自分の好きなものを掘り下げる大事な時間だと思っています」

上田さんの愛猫。「7年前に、庭に迷い込んだ子猫を保護してそのまま飼うことに。おとなしくて臆病な性格なので、家族以外には姿はなかなか見せません」

普段から、自身が作った定番のアクセサリーをいくつか重ねて。「よく付けるものはアルミプレートの上に。つけっぱなしにしていて、お守りというか、身体の一部のようになっています」

気に入った絵を一枚ずつ買い足しているという上田さん。「トラネコボンボンさんの絵は、京都にある「雑貨 小さい部屋」さんで購入しました」

子どもたちの小さい頃の思い出は、ボードに貼ったまま。時々見ては懐かしく思うのだそう。

庭に咲いた花をテーブルに飾って。

キッチンの飾り棚には、好きな器を並べて収納。

野菜は、オーガニックの八百屋「ワンドロップ」さんに届けてもらっているもの。

古道具屋で見つけた『MARIO GIACOMELLI』の写真集と、近所で開催される古本市で見つけた『花の作り方』はお気に入りの2冊。「マリオ・ジャコメッリのコントラストの強い、モノクロの写真に惹かれます。ロゴの入り方までシンプルでかっこいい。古いものから影響を受けることが多いです」

上田さんが「野を集める」という展示をしたときに制作した、オリジナルポスター。「京都美山まで春の野草を摘みに行き、野花を青写真に転写して作りました」

文房具が好きという上田さん。予定はもっぱら手書きなのだとか。「モレスキンの手帳は、毎年ずっと同じものを使っています。革の筆箱に万年筆を入れて、手帳と一緒にいつも持ち歩いています」

自宅の彫金スペース。「彫金道具は自分で作ったもの、古道具から探し当てたものや、先輩から譲り受けたもの、友人に作ってもらったものなどを大切に使っています。ここだけではできない作業もあるので、今でも週に一度、彫金の工房に通って制作をしています」

真鍮のランプシェード。

京都「アトリエ エトセトラ」さんでの個展の様子。

profile

上田真理子/うえだまりこ

京都市左京区在住。デザイン事務所で働いていた時期に金属に興味を持ち、鷲尾健治氏に彫金を学ぶ(現在も師事)。2000年よりフリーランスのデザイナーとして活動。拠点を下京区より左京区に移動し、御影通沿いに事務所を移転。同時に20代より学んでいた彫金の技法を使って、「um(ウーム)」を立ち上げる。「デザイン」の発想と、切る、熱する、叩く、やするなどの金属工芸の技法「彫金」の技術を使って、アクセサリーなどの装身具、カトラリーやランプシェードなど、暮らしの日用品を制作する。
https://www.um-silver.com
Instagram:@um.uedamariko

上田さんがバトンを渡すのは、京都西陣にある「串揚げ 万年青」の青木裕子さん。「イベントでご一緒してから、かれこれ10年ほどのお付き合い。最近は裕子さんのお店のウェブサイトやパッケージのデザインも担当しています。裕子さんはお店以外に小さな市や、ワークショップを企画されていて、いつもいろいろな気づきをもらっています」と上田さん。青木さんの暮らしは、5月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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