【住まいと暮らしvol.32】いろいろなことにチャレンジし、無理なく続けることを大切にーグラフィックデザイナー上浦彩さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回のカワナカユカリさんのバトンを受けてご登場いただくのは、グラフィックデザイナーの上浦彩さんです。

上浦さんの暮らしのルール

1)無理なく楽しく
2)中庸を意識する
3)とりあえずやってみる

photo: Izumi Yamazawa

奈良県で古き趣きに寄り添いながら、暮らしを楽しんでいる上浦さん。
「日々楽しく過ごしたいので、できるだけふんばりますが、無理はしないように心がけています。40歳すぎてから始めたフランダンスは、無理なく楽しく続けていることのひとつ。自分の中心を意識して動くので体が整い、中庸も意識できます。運動が苦手な私にとって無理なく動けるとても楽しい時間です」

何事も極端になりすぎないよう、中庸を道標にしているといいます。
「直感にまかせて、苦手なこともできるイメージを持って、とりあえずやってみることも大切に。日々実験なので、失敗してもそこからの展開の方がおもしろいと思っています。ずっと苦手なイメージで自分には必要ないとさえ思ってたのが、一昨年取得した運転免許。思いたって通い始め、勢いよく3ヶ月でスムーズに取得はできたものの、細い道や車庫入れは難しく、まだまだトライ&エラーの繰り返しです。

自分がこれまで得た、いろいろなことを伝えられるようなおばあちゃんになるのが夢。そのためにとにかく健康で、イキイキと過ごしたいと思っています」

家の中心に位置するダイニングキッチン。「レトロな空気感をまとった板壁やタイルが、さまざまな年代の家具とも相性よく、不思議となじんでいます。家族みんながほっと落ち着ちつけるラフな空間です」

子どもたちを送り出したあと、ゆっくりコーヒーを淹れる時間が大切だという上浦さん。「挽きたてがいいけど、毎日のことなので電動でウィーンっと楽して挽いています。茶葉が入っていたTE=CHAの瓶をリユースして、サーバーとして使っています」

毎日のスープは義父が丁寧に育てた、季節の野菜をたっぷり入れて。「子どもたちも苦手な野菜もスープだと食べてくれます。生姜をよく使いますが、朝の忙しい時間は、ジンジャーパウダーやジンジャージャムを使うと時短に」

年月を重ねた木の風合いが魅力的な階段まわりは、古い家ならではの砂壁が残っています。「急な階段も“階段エクササイズ”だと思って、毎日何度も昇り降りしています」

かごは上浦さんの手作り。「初めて編んだのは高校の美術の時間。今だからできる形を探しながら、時折編んでいます。テイクアウトのドリンクホルダーとして編んだミニサイズのかごがお気に入り。編み上がったかごを藍のグラデーションで染め上げるのが今後の目標です」

玄関にかけている布は思い入れのある大切なもの。「もともとは、長女が産まれたときに自分で染めて仕立てたスリング。白い布が彩られて形を変え、時を経て今は玄関を華やかにしてくれています」

新婚旅行でクロアチアを訪れたときの、宿の猫がモチーフになった上浦さんの作品。「10年前に染めたものを最近クッションに仕立て直てました。猫ちゃんを飼っている方に気に入っていただき、4匹まとめて連れて帰ってもらいました」

お気に入りのLittle Eagleの衣。「ふんわりやさしく包んでくれる肌触りがとても心地よく、まとうとニュートラルな自分を感じれる特別な存在です。何通りも着方ができるのもお気に入りの理由です」

昨年、大阪の星ヶ丘での展示で出合ったという、うつわユニット・ボーメの器。「遊び心のあるデザインとやさしいフォルムがお気に入り。シンプルで使いやすく、頻繁に食卓に」

玄関土間を利用した、アトリエスペースに吊るしているフライングリース。「わが家をイメージしてidea of a jokeのヨーコさんに作っていただいたもの。古い建具とも合っています」

パールのお守り。「一粒パールのネックレスは、父が母に送った指輪をネックレスにして譲り受けたもの。丁寧に編みこまれたMomi Pakipikaミキさんのブラックパールのアンクレットは、フラを踊るときのお守りに。少しずつ形の違ったパールが連なるT.Couleurメグさんのネックレスは、カジュアルな装いにも合わせやすい優れものです」

最近1番はまっているのが、細長い紙をくるくるっとまるめて作る、ペーパービーズを使ったアクセサリー作りだそう。「素材の多くは、自社でデザインして役目を終えたポスターやフライヤーなど。形を変えて生まれ変わるおもしろさ、ビーズになったからこそ出る色合いに惹かれています」

毎日飲むお茶だからこそ、安心安全なものを。「奈良に住んでから、お茶との向き合い方が変わりました。山添村の茶畑でのお茶摘みは毎年家族で参加しています。そのまま味わうだけでなく、自分たちで作った茶葉を梅と一緒に、シロップ漬けにして楽しんでいます」

「お盆と正月、予定のない休日は上浦家のふるさと、山添村で過ごしています。村に着くとまずは、ゆーっくり深呼吸。ただいまと言える場所があるのは、本当にありがたいです」

山添村の家のお風呂は、薪火で焚いて。「風呂焚きは子どもたちのお仕事。火おこしは私より上手いかもしれません。火を学び、暮らしの中での火の大切さを感じてほしいです」

Profile
上浦彩/うえうらあや
大阪府出身。奈良短期芸術大学にて染織を学ぶ。靴メーカーのインハウスデザイナーを経て結婚を機に上京。2009年に夫と共にデザインオフィス「ubusuna」を設立 。2013年より奈良へ拠点を移し、グラフィックデザイン、イラストレーションの他、ペーパービーズやスタンプを使ったワークショップなど、手仕事を大切にした活動をしている。3児の母。Instagram@ubusuna_ayatsuko 

上浦さんがバトンを渡すのは、ギャラリー「日+月+星(サンムーンスター)」を運営するタカハシミチヨさん。「ミチヨさんとは出会って日が浅いのですが、トキメキを感じるポイントが似ている気がします。そのせいか、ミチヨさんがいる空間は私の在り方が肯定されているようで、すごく安らげます」と上浦さん。タカハシさんの暮らしは、3月下旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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