一冊の料理本との出合いによって、料理が楽しくなったり、仕事に繋がったり、生活がガラリと変わったり……。そんな、暮らしに影響を与えてくれたお気に入りの料理本について、結城アンナさんにお話を伺いました。
結城アンナさん/ゆうきあんな
タレント(67歳)
心地よいライフスタイルやファッションを発信。
Instagram:@ayukihouse
幼い頃の娘に、自立心を芽生えさせてくれました
料理本が好きで、自宅に約30冊所蔵しているという結城アンナさん。さまざまな国の料理本を買っては、一回、レシピ通りに作ってみるのが楽しいとはなします。
「国によって使っているスパイスが違ったり、料理の仕方も違っておもしろい。外国の料理は分量が多いので、一回作ってみてベストな分量を量り、書き込んだりメモを挟んで、自分だけの1冊になっていくから手放せなくなります。特に行ったことのない国の文は、料理本を通して知ることもできるので、奥が深いなと思います」
増えすぎてしまった料理本を2年ほどかけて整理し、手元に残ったなかで最も古い本だというのが、この『MICKEY MOUSEのクックブック』です。
「娘が幼稚園生のとき、お小遣いを持って自分で買ってきた本。子どもの本だからレシピがシンプル。簡単にできておいしく、基本がよくわかるんです。 一度レシピ通りに作れば、自分で工夫することもできるのもいいですよね。メニューもおしゃれでヘルシー、子どもが作ると、よく褒めたものです 。
結城さんはこの本から、料理の基本だけでなく、子育ても学んだそう。
「自分で作ると、ちゃんと食べるんです。アメリカの本だから日本に売っていない材料もあって、娘と一緒に買い物に行って、代わりに何を使うか、分量をどうするかを相談しながら作ることが、コミュニケーションになっていました。当時は気がつきませんでしたが、今振り返ると、うまくいかないときにものごとを俯瞰して考えることを教えるのにも、とても役立ったと思います。料理が娘と一緒に楽しめる、共通の趣味になった一冊です」
『クウネル』2023年1月号掲載
写真/大森忠明 取材・文/赤木真弓