ワタナベマキさんを支えるレシピ本。何度も読み返す、原点に返れるような存在

ワタナベマキさん

一冊の料理本との出合いによって、料理が楽しくなったり、仕事に繋がったり、生活がガラリと変わったり……。そんな、暮らしに影響を与えてくれたお気に入りの料理本について、ワタナベマキさんにお話を伺いました。



困ったときに立ち返る、教科書的な存在です

料理家のワタナベさんが大切にしているのは懐石料理、世界各国の料理、家庭料理を紹介する洋書という、全く違う3シリーズの料理本。重量のある大型本もいつでも見返せるよう、すぐ手に取れるところに置いているといいます。

懐石傳書 辻留

懐石傳書 辻留』 辻嘉一
茶道裏千家の流れを汲む、京都の懐石料理の名店「懐石 辻留」が手がける、煮たもの、焼物、椀盛、点心、御飯と味噌汁、向附、八寸・口取の全7冊セットの料理本。布張りの箱に入っているのも豪華。(婦人画報社)

懐石傳書 辻留』は、焼物だけで1 冊という贅沢な作り。背表紙が並ぶとかわいくて、箱入りのセットで見つけた時はうれしかったです。料理の基本が載っているので、料理で自分が迷ったときに見て、原点に返れるような存在。

和食の3点盛りなどの作法の基本、 歳時記など、知っておかないといけないときもあるので、確認のために読み返すこともあります。

タイムライフブックス 世界の料理

『タイムライフブックス 世界の料理』
フランスや中東、スカンジナビア料理まで、世界各国の料理の作り方だけではなく、豊富な写真で、料理の背景にある情景にも触れられる。大判の箱入り。別冊でリング式のミニレシピブックつき。(タイムライフブックス)

「また、世界各国の料理を紹介するタイムライフシリーズは、それぞれの文化やお祭りまで書かれていて、とにかく情報量が豊富。ネットで調べた情報は不確かなので、 例えば北と南で違うインド料理を作るとき、どちらの料理なのかなど、必ずこういう本で確認するようにしています。この仕事を始めてから、持っておいた方がいい、勉強になる本を買うようになりました」

料理本は、書店に並ぶ新刊よりも古書店で買うことが多いのだそう。
「たとえば、文字だけのレシピ本ならできあがりを想像しながら作るのも楽しいし、組み合わせも斬新で面白い。作りも贅沢なものが多く、図鑑のような大きなサイズの本は内容も充実しています。タイムライフシリーズも少しずつ揃えたいな」

CANAL HOUSE COOKING
『CANAL HOUSE COOKING』 アメリカ・ニュージャージー州のレストランが、季節の料理を紹介する季刊の料理本。2人の女性が作り出す家庭料理は、シンプルながらエレガントでおいしいと人気。現在vol.8まで刊行。(Canal House Cooking)
ワタナベマキさんの料理本
『インド料理』は、揚げ菓子やスパイス使いのヒントにしたり。「なかなかレシピの見つからない、プーリーを作ったりもしました」
ワタナベマキさん
海外旅行先でも、料理本は必ずチェックするというワタナベさん。「神保町にある、料理本専門の古本屋に行くことも多いです」
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洋書からヒントをもらうことも多いというワタナベさん。中でもお気に入りは、旅先のアメリカで見つけて、行くたびに一冊ずつ集めてきた『Canal House Cooking』です。

「布張りの装丁もスタイリングも、写真の撮り方も素敵。ときどきイラストも入っていて、こういう本を作りたいなと思いました。洋書のレシピは単位も違うし、できる分量も60個分だったりと多いので、そのままでは作れませんが、食材の組み合わせからヒントをもらうことも多いです。写真集のような感覚でたのしめますね」

『クウネル』2023年1月号掲載

写真/砂原 文 取材・文/赤木真弓

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