人生経験を積んでいくと、親しい人との関係性も少しずつ変化するのは当然のこと。良い関係を楽しめている姉妹が語る、つながりや今の距離感を保つ秘訣とは?
園部曉美・中園五月/そのべあけみ・ なかぞのさつき
ともに精進料理ユニット「iori」
曉美さん(写真左)と五月さん(写真右)の姉妹ユニットで、神奈川・東京を中心に料理教室やイベント活動を行う。2015年に出版したレシピ本『おばあちゃんの精進ごはん』(マイルスタッフ〈インプレス〉)が話題となり、テレビや雑誌、Web等でも活躍中。
7人兄弟姉妹の長女、次女として生まれ育った姉の曉美さんと妹の五月さん。「年が近いから、幼い頃は友達のようでもあり、ライバル心ももっていました」と語るのは妹の五月さん。
「社会人になり、お互いに家庭をもってからはしばらく疎遠に。そんな私たちの関係を再び結びつけたのが、精進料理でした」
子育てが終わった40代半ば、五月さんが「お姉ちゃんもやらない?」と曉美さんを誘ったのがきっかけで、殺生をしない料理の考えに曉美さんも共感。
60代で精進料理ユニット「iori」として活動を始めます。お互いが気持ちよく仕事をするうえで大事にしているのは「甘えないこと」と曉美さん。
「家族ならわかってくれるはずはトラブルの元。言うべきことは正直に、 丁寧に言葉にして伝えるようにしています」。相手に誤解を与えたり、不愉快にさせたりするのも言葉が足りないから。
「他人だったら心遣いができるのに、肉親だとそれができない。昔のことまで思い出してカチンときたりしてね」と五月さんは笑います。「ただ、 私たちの間ではルールはなし。今度はそのルールを守っているか気になっちゃうから」と曉美さん。
「距離が近い家族だからこそ、つきあい方が難しい面もある」と正直な気持ちを語ってくれた五月さんですが、多くの人に精進料理の魅力を伝えたいというのが共通の想い。
「目的が同じだから、違うところや気になる部分があっても認め合える」というお二人。
「70代になって、関係性がよりシンプルになった気がしています。これからはお互い健康も気を遣わ ないとね」
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/玉井俊行、取材・文/小林賢恵