住みたい空間を実現するときばかりでなく、事情が移ろって住みかえることも、人生にはつきもの。 新しい住まいでどんな空間や生活を見つけ作っていくのかが肝心です。来し方も糧に、引越しで新しい平安を得たストーリーに共感!
山下りか/やましたりか
手仕事作家、ライアー奏者
雑誌『オリーブ』でスタイリストとして活躍 した後、長期旅行気分 でNYに渡る。アメリカで家族を得て1997年に帰国してからは、 竪琴の一種であるライアー奏者、また手仕事の作家として活動した
り、教える仕事も。
\煉瓦床のダイニングは雰囲気があります/
煉瓦床のダイニング、和の意匠を生かした部屋。歴代の家で使った家具やラグが家にマッチし活躍しています。出入り口には渋谷の物置についていたドアにペイントして設置。
「キッチンはフレンチカントリーが漠然とイメージにありました。壁やファブリックは、やはり白。今までと同じで、やりたいこと全部はできないから、 身の丈と場所に合せて。生活しながら必要なものを少しずつ足しています」
昨年末には鋳鉄のミニ薪ストーブもやってきました。草原か山の中の家のような雰囲気がアップ。キッチンでパンを焼いたり、共同の庭に出て自生する芹や茗荷を摘んだり、ソファで手仕事をしたり……。冬は割ってくべての 薪まわりも忙しいけれど、あとはのんびりと自然と共にある生活です。
「設計図や完成予想図もないんですが、 だからこそ面白い。外装とか2階とかまだ手が回らず課題の場所も多いんですけど。徐々に、やるしかないかな」
先のことはまた考えよう、と星がきれいな空を眺めながら山下さんは思うのでした。
『クウネル』2022年5月号掲載
写真/玉井俊行、取材・文/原 千香子