家は暮らしの根幹。どんなところで、どんなふうに住まいをつくってきたのか?住まいの変遷を辿ることで、その人が暮らしで大切にしていることが見えてきます。記念すべき第1回目は『fog linen work』オーナー・関根由美子さんの住まいです。
関根由美子/せきねゆみこ
『fog linen work(フォグリネンワーク)』オーナー。オリジナルデザインのリネンのウェアや生活雑貨を販売。今年、サンフランシスコの出版社・クロニクルブックスより『Simplicity at Home』を上梓。https://foglinenwork.com/
「住まいに求めているものは、すっきりしていること」
表情のある風合い、シンプルな色やデザイン……。リネンがこれほどまでに私たちの暮らしになじんでいるのはこのブランドのおかげといっても過言ではない存在の『fog linen work』。オーナー・関根由美子さんのお宅を訪ねました。
まずは岩手・盛岡の生家の思い出から……。母の希望で『光原社』に設計してもらったというこだわりの家で育った関根さん。『光原社』は民芸好きの聖地として愛される、手工芸品を扱う老舗店です。
「最初は民芸の雰囲気でしたが、母が外国文化に憧れがあり、 改築や改装を繰り返し、少しずつ洋のテイストへと変化しました」 大学進学を機に上京し、ひとり暮らしスタート。海外テイストの雑貨を集めた雑貨店でアルバイト。生活もかわいい雑貨で少しずつ彩っていきました。
「リネン素材もそのころから好きでした。当時から好みがあまり変わらず、 学生時代の友人からは、家の雰囲気が全然変わらないと驚かれるほど」
長らく東京に暮らすなかで、引っ越 すこと十数回。仕事のスタートは、ワンルームマンションで始めた古本の卸し業から。規模の拡大や取り扱い品の変化とともに住まいを移し、2011年に『fog linen work』のショップ兼、 オフィスを下北沢に構えました。
こだわりのホテルのようなゲストルーム
設計したのは建築家のパートナー。それから数年後、同じくパートナーの設計によるいまの家が完成しました。どちらもシンプルな箱型。「住まいに求めるものは、すっきりしていること」と即答する関根さんらしい、静かな雰囲気の大人の住まいです。
「基本はお任せ」で出来上がった家は至極快適。自宅部分も素敵ですが、目を見張るのは一階にある「ゲストルーム」。バスルームやクローゼットを備えたスペースは広々として、まるでホテルのよう。
海外に多くいる友人が、 心置きなく東京ステイを楽しめるような配慮がされています。「コロナが収束したら行きたい」という友人が世界中に待機中なのです。
『クウネル』2021年3月号掲載
写真/近藤沙菜、取材・文/鈴木麻子
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