大人の世代にこそ似合う普段着のブランド『chicuchicu315』のデザイナー・山中とみこさん。真っ白い空間と古道具が印象的な住まいは、 20年以上かけて少しずつ変化させた、唯一無二の空間です。
山中とみこ/やまなかとみこ
大人の世代にこそ似合う普段着を提案している。埼玉県所沢市でギャラリー&ショップ「山中倉庫」を不定期オープンしているほか全国のギャラリーで展示会を行っている。 Instagram:@chicuchichu315
アンティークなものや植物がアクセントになります
床や壁、天井までも真っ白く仕上げられた空間。そのすっきりとしたなかに古い家具や多肉などの植物がよいアクセントを加えています。洋服のデザインをしている山中とみこさんの自宅は築48年のマンションの14階にあります。
「窓からのこの景色に魅了されて転居を決めました。23年くらい前のことですね。この眺望を楽しみたくてずっとカーテンはなし。冬は寒いけれどなんとかやっています」
青森で生まれ育ったという山中さん。父は警察官だったため転勤が多く、さまざまな場所で暮らしてきたなか、青森の三沢米軍基地の近くに住んでいた際の記憶が鮮明だと話します。
「大きな庭がある平屋がずらっと続いていて子どもながらにいいなぁと思っていました。子どものころから部屋や家のことを考えるのが好きで、東京の大学に進学してひとり暮らしを始めたときはカーテンや器などを少しずつ買いそろえて。とてもワクワクしたことをよく覚えています」
結婚後は公団住宅に15年ほど暮らし、現在の住まいに移り住みました。3DKと部屋数が限られていたため、当時は息子ふたりそれぞれの部屋と夫婦の 寝室だけ。子どもが独立してやっと自分たちのスペースが持てたといいます。 押し入れをクローゼットに改造したり、 壁や棚を作ったり、ご主人とふたりで少しずつ手を入れてきました。
「セルフビルドは好きだし楽しかったけれど、セルフゆえの温かみで溢れて しまって。 10年ほど前に業者に頼んで本格的なリフォームをしました。シンプルだけどややシャープな空間にしたいなと思い、壁や天井は白で塗装してもらいました。床はシナベニヤのオイル仕上げだったけれど、暮らし始めたらどこかしっくりこなくて、ひとりですべて白く塗りました」。
ホームセンターで買った、なんてことない水性ペンキなんですよ、と言って笑う山中さん。今後も自分にとってベストな空間を目指して変化していくことでしょう。
『ku:nel』2021年9月号掲載
写真/近藤沙菜、取材・文/結城 歩
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◎【Parisインテリア探訪.1】心豊かに第二の人生、わたしの新しい生活。「DORETTE」デザイナー・カトリーヌさんのお話。
◎【Parisインテリア探訪.2】田舎暮らしを体験し、植物と調和するインテリアを再考
◎【Parisインテリア探訪.3】子供たちの独立をきっかけに、暮らしを上質でコンパクトに変化。