学芸大学の生活雑貨の店『MIGO LABO』の店主であり、フォトグラファーとしても活躍する、<クウネル・サロン>プレミアムメンバー石黒美穂子さん。そんな石黒さんが日帰りにうってつけの風情ある穴場スポットをご紹介してくださいました。
江戸時代後期から昭和初期の建物が残る街並み
長いステイホームから解放されて、旅に出たくなってる人も多いのではないでしょうか?古い町並みが残る群馬県桐生市はaround50代である、クウネル世代の郷愁をそそるスポットがたくさんあり、日帰り旅にもぴったりの穴場です。
江戸時代後期から昭和初期の建物まで幅広い建物の種類が残っていて桐生市のメインストリート「本町通り」の町並みは2012年(平成24年)関東で5番目となる重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されていて見所満載。通りを歩くだけでもかなりテンションが上がっていきます。
店全体が民芸です
そんなエリアで私の一押しは「異国調菜 芭蕉」。昭和12年(1937年)の開店というからすでに80年以上の歴史あるお店。大きな木の陰に隠れた木造の建物の外観もさることながら、一歩店内に入ると独特な雰囲気に感嘆の声が上がってしまいます。段差の多い入り組んだ店内には版画家・染色家であり、民芸蒐集家だった店主の小池魚心さんが集めたというコレクションの多さに驚きます。
民藝館にでもきたようなバラエティーに富んだ店内の民芸品はどれも興味深いものばかり。中でも吹き抜けに壁に描かれた棟方志功の壁画の存在感には圧倒されてしまいました。実は1953年に店主が好きだった棟方志功を呼び寄せ、描かせたのですが「作品が店に合わない」という理由で漆喰を塗って封印していたという逸話があり、2008年に発掘復元されて日の目を見た幻の作品なのです。
異国調菜 芭蕉
住:群馬県桐生市本町5-345
電:0277-22-3237
営:11:00~20:00 ※ラストオーダー19:50
休:火曜日※月に一度水曜休みあり
※現在の営業日・時間帯はネットもしくは電話でご確認ください
素朴なお菓子「花ぱん」
桐生のお土産として人気のお菓子「花ぱん」は桐生天満宮の神紋をモチーフに小松屋が考案し、地道に花ぱんを製造し続け御好評を得てご贔屓にして下さるお客様のお陰で桐生名物として広まっていきました。現在、桐生では12店舗で販売されいています。
創業明治29年の「小松屋」は本町通り沿いに店舗があります。花ぱんを買い求め、お店の方からお話しをいろいろを伺っていると昔の話から最近の桐生の話題のお店の情報なども教えてもらいました。私が古いものが好きというのでお店の奥から年代物のマッチを出してきて、見せてもらうとこれがまたツボにはまるレトロ感。昭和30年代に作られたというマッチはデザイン性の高さや和紙の風合いなど素敵でした。
「花ぱん」は卵と小麦を練って焼きあがったら、砂糖で作った蜜を掛けた焼き菓子です。100年以上変わらない素朴な味は老若男女、誰にも好まれる日本の元祖スイーツ。いたってシンプルな材料で作られていて、その味は昔から食べていたような懐かしさを感じます。私はもっぱらコーヒーのお供にして、楽しんでいます。
桐生発のB級グルメ
桐生名物の懐かしいい味と言えば、知るひとぞ知る桐生っ子のソウルフード「コロリンシュウマイ」。食べた時は「シュウマイなのになぜ肉じゃないの?」と頭の中は??となりました。食感はもちもちとしていてソース味、青のりが掛かっていて、たこ焼きのような駄菓子にも近い大衆的な味わい。大人としてはビールのつまみにしたい一品です。
戦後の食糧難の時代に男爵いも、玉ねぎ、でんぷんと豚脂を原料に作られていてシュウマイのネーミングの由来ははっきりしないそうです。コロリンシュウマイは車の移動販売から始め、現在は店舗やオンランでも販売されています。
コロリンシュウマイ
住:群馬県桐生市相生町5-204-23
電:0277-53-8617
営:11:00~19:00
休:月曜定休(月1回火曜休みあり)
※現在の営業日・時間帯はHPもしくは電話でご確認ください
「映える」景色がそこかしこに
「本町通り」は重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されていて、風情のある店構えが多いので散策にはぴったり。古い町並みを守りながら、素敵にリノベーションした店もあり、フォトジェニックこの上ない桐生。明治や昭和の時代にタイムスリップ出来る、ショートトリップ(日帰り旅行)に出掛けてみてはいかがでしょうか?
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