閉校した小学校が自然と暮らしをつくる 新スポットに生まれ変わってグランドオープン!

神戸の中心地・三宮からほど近い兵庫区雪御所町(ゆきのごしょちょう)。この地で141年つづいた小学校が、街の記憶を大事にしながら「自然」と「暮らし」をつくる新しい複合施設『NATURE STUDIO(ネイチャースタジオ)』として生まれ変わり、グランドオープンしました。

かつて平清盛公が住んでいたという雪御所町(ゆきのごしょちょう)。地域住民でにぎわう温泉や木造の家並みが今も残る歴史ある街です。

この街で141年の歴史を持つ「湊山小学校」は、時代の流れとともに2015年に閉校。この地域に受け継がれてきた自然、大切に受け継がれてきた暮らしを今一度、学び、育てようというプロジェクトが発足し、閉校した湊山小学校をリノベーションして拠点としました。こうして誕生したのが『ネイチャースタジオ』です。

ネイチャースタジオの外観
「ネイチャースタジオ」を訪れると、まず目に飛び込んでくるのが“フレームグリッド”という壁面のデザイン。角材を連結させてつくった立体フレームから顔を覗かせるグリーンには、地域再生の象徴となるようにとの想いが込められています。
ネイチャースタジオ施設内部の風景
施設内部からフレームグリッドを見ると、階段状になっていてプランターを置けるようになっています。
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水族館や釣り堀、フードコートなど見どころ満載!


『ネイチャースタジオ』には、おもに4つのスポットが併設されています。

まずは、かつて理科室や図書室だった場所をリノベーションした『みなとやま水族館』。水槽の中の生きものをじっくり観察できるようにイスやクッションが置かれていたり、または靴を脱いで寝転びながら見てみたり…。展示の工夫があちらこちらに。また、「順路」がないので、自由に好きなところに行けるのも、じつは新鮮な体験です。ひょっとして大人の方が楽しめるのでは?と思うほどに大満足の水族館でした。

ネイチャースタジオにある水族館
水槽は低い位置に展示されており、クッションに座って眺めることができます。まるで生きものと語り合うかのように過ごせる、至福のひととき。
ネイチャースタジオ内の水族館の水槽
水槽の中にいる生きものの説明は最小限に。さまざまな視点でじっくり生きものを観察することを楽しんでもらいたい、という水族館の意図が感じられます。
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水族館の目の前は、かつての校庭に広がる「ピクニックガーデン」。果樹やハーブなどの有用植物が植えられ、小川も流れる気持ちのいい場所です。少し涼しくなったら、アウトドアカフェ『ガーデンキッチン』でドーナツやコーヒーを買って、リラックスした時間を過ごすのもおすすめです。

ピクニックガーデンの奥には、地下水を汲み上げてつくった釣り堀「フィッシュポンド」が。わき水が豊かなこの街らしく、水の温度を19度に保ったかけ流しの地下水が、この池に流れ込んでいます。池にはニジマスが放たれ、釣りを楽しむことも。

緑豊かなエディブルガーデン
かつての校庭は、緑豊かなエディブルガーデンに。
ニジマスが釣れるフィッシュポイント
フィッシュポンドで釣ったニジマスは、『ガーデンキッチン』で揚げたてのフライにしてくれるそうですよ。
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体育館だった建物は、高い天井が気持ちいいフードホールに。神戸の人気カレー店『マンドリル』や、青森りんごのスイーツやドリンクをいただける『a la ringo(あら、りんご。)』の神戸ファクトリーショップのほか、できたてのクラフトビールが飲めるビアカウンターも。

蜜入りりんごのアップルパイ
大きめにカットされた青森県産蜜入りりんごがぎっしり!「あら、りんご。」の〈蜜入りりんごのアップルパイ〉432円。
神戸発祥のカレー店『マンドリル』
神戸発祥のカレー店『マンドリル』も、ネイチャースタジオにやってきました! ここでは、9種類のカレーとサイドメニュー、トッピング、サラダを選んでオーダーできるメニューが人気。
open air湊山醸造所で作るビール
『open air湊山醸造所』でつくられる5種類のホップを使ったIPA「open air ipa」などが楽しめるビアカウンターも併設。
甘酸っぱいサワービール
暑かったこの日は、季節限定の甘酸っぱいサワービール〈limonade〉を注文。できたて&注ぎたてならではのフレッシュな喉越しを堪能。
ネイチャースタジオの旧体育館の躯体をそのままいかしたフードホール
旧体育館の躯体をそのままいかしたフードホール。イートインスペースのテーブルは、もともと理科室で使われていた机を再利用。
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ハーブショップやブルワリーでお買いものも


『ネイチャースタジオ』を訪れたら、ぜひチェックしたいのがハーブの専門店『ハーブショップ』。ハーブや野菜、果樹の苗木に加え、鉢や土などの園芸ツールも種類豊富に揃っています。今後は、ハーブを使ってアロマオイルやハーブソルトをつくるワークショップなどもおこなっていくそうです。

『ハーブショップ』のとなり、かつて給食室だった場所はブルワリー『open air湊山醸造所』に生まれ変わりました。ここでは、ヘッドブルワーのベンさんが毎週1~2種類のクラフトビールをつくっており、フードホールのビアカウンターで缶ビールとして購入が可能。おしゃれなパッケージも、ベンさんのデザインだそう。

ネイチャースタジオの前にはハーブが育てられています
いきいきと育っているハーブや野菜、果樹の苗が店頭にずらり。
ランドセル置き場を再利用した棚
壁面の什器は、かつての“ランドセル置き場”を再利用。(ちなみに上下逆さまにして使っているそうです)
ポートランドからやってきた、ヘッドブルワーのベンさん
ポートランドからやってきた、ヘッドブルワーのベンさん。毎週1〜2種類のクラフトビールを生み出しているというから、すごい!
ラズベリーウィート
女性に人気の〈ラズベリー ウィート〉。缶ビールはフードホールのビアカウンターで購入できます(期間限定)。
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訪れた日は灼熱の太陽がふり注ぐ猛暑でしたが、緑や小川のせせらぎ、どこからか吹いてくるそよ風に救われ、とても気持ちのいい時間を過ごしました。オープン時に植えられた苗木はこれからこの施設とともに育まれ、やがて自然豊かな街を再生していくことを目標としています。自然と人の共生を楽しく学び、体験できる新しいスポット『ネイチャースタジオ』を、ぜひ訪れてみてください。

取材・文/神保亜紀子

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