どこのキッチンでもその家の調理道具で、手際よく多くの料理を、とびきりおいしく作る伝説の家政婦、タサン志麻さん。そんな志麻さんの住む自宅のキッチンは、意外にもこぢんまりとした空間。しかし、よく見ると、すべてのものが作業する上で無駄のない完璧な配置となっています。今回は、料理を効率よくするだけでなく、気持ちよくできるようになる、志麻さんのキッチン収納術と、新しい発見につながる料理のコツを教えていただきました。
愛用するメルシーのエプロンをして、自宅のキッチンに立つ志麻さん。「気軽に作って、会話しながら楽しむ家庭の気取らない食事。フランス料理を通して学んだ、そんな料理の魅力を伝えたいので、これからも基本は家政婦として、それを発信していきたいです」。と語ります。
志麻さんの自宅は趣のある古民家。こぢんまりした台所は、すべてのものが作業動線を考えた無駄のない配置でスタンバイしています。「キッチンは広い方がいいと思われがちですが、広さよりもむしろ、必要なものが必要なところにあるかどうかがです。狭いとしまうところが限られるけれど、広いと収納スペースも多くなり、あちこちバラバラに収納してしまって結局、料理がしにくくなってしまったり……。うちのキッチンは狭いですけど、これで十分なんです。本当によく使うものと、ときどき使うものを分けて、すっきりと収納することが、効率のよさだけでなく、気持ちよさにも繋がると思います」。
あるべき場所に立てて収納。
よく使うハーブはマグネット缶に。
扉のない収納で一目瞭然。
レシピどおりの材料がない場合は、手元にある食材で代用してみる。
たさんしま
フランスの三ツ星レストランで研修後、日本のフランス料理店などで15年働き、2015年にフリーランスの家政婦として独立。各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。『1分で決まる!志麻さんの献立の作り方』(左)、『志麻さんの何度でも食べたい極上レシピ』(右)、『志麻さんの気軽に作れる極上おやつ』(中)など、著書多数。https://shima.themedia.jp/
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『ku:nel』2021年5月号掲載
写真 目黒智子、青木和義(料理)、中島慶子(料理)/取材・文 黒澤弥生