京都人も太鼓判の小説4選。物語の地を巡り、作品の世界に没入する体験を。「恵文社 西大路店」が選ぶ【京都本】

「恵文社 西大路店」

京都の書店が選ぶ、旅をより深めるとっておきの本。『恵文社 西大路店』シニアマネージャー・北山耕三さんにセレクトいただき、お話を伺いました。

京都本大賞実行委員会副委員長おすすめ、物語の地を訪ねたくなる名作小説。

選書してくれた人

シニアマネージャー
北山耕三さん

店舗運営のかたわら、2013年からスタートした府内の書店等で取り組む京都本大賞の実行委員会副委員長を務める。京都本大賞では毎年「京都が舞台の小説から最も地元のかたに読んで欲しい作品」を選出。

京都が舞台の小説を選びました。ライトノベルも合わせると年間80から90作品も刊行されていて、過去作も含め選ぶのは苦労しました(笑)。私は京都生まれ京都育ちで、外から京都を見たことがないのですが、おすすめは京都の空気がうまく描かれているものです。

『異邦人』は、キュレーターでもある著者が京都の美術界や家柄にも触れていて、知り得ない街の裏側が想像できます。『手のひらの京』は、三姉妹が模索するストーリーで、前向きな気持ちになれます。

『異邦人』

『異邦人』

原田マハ

「最後は背筋がゾクっとします。原田マハさんは温かい小説も書くかたですが、これはちょっと違う。京都のアート界隈も垣間見られる本です」。京都本大賞第6回受賞作。2021年にドラマ化。PHP文芸文庫

『手のひらの京』

『手のひらの京』

綿矢りさ

「根本にあるのは京都の土地と文化。その見えない糸から逃れられず葛藤しながら成長するストーリーです」。第8回京都本大賞ノミネート作品。京女三姉妹の恋と決意が綴られ、現代版『細雪』の評も。新潮文庫

『さんかく』は、食事の描かれ方が本当に素晴らしい。主人公が京都で、ものづくりの楽しさに魅せられ、成長していく物語『メイド・イン京都』もおすすめです。

『さんかく』

『さんかく』

千早茜

直木賞受賞作家が京都に暮らす男女の三角関係未満を軸に展開。第12回京都本大賞ノミネート作。「古い京町家の生活がうまく表現されています。ごはんの描写も素晴らしい! お腹が空いてきますよ」。祥伝社文庫

『メイド・イン京都』

『メイド・イン京都』

藤岡陽子

京都市出身作家による京都本大賞第9回受賞作。「主人公は京都の老舗の跡取りの夫との結婚を機に、古都に移り住み洗礼を受ける。しかし、そこからものづくりに目覚めて独立していく成長物語です」。朝日文庫

他には、日本映画の発祥の地へのオマージュも込められた、浅田次郎の『活動寫眞の女』。百万遍界隈の下宿生のムードが感じられる作品です。京都に実際にある場所から物語を膨らませていく、マジック・リアリズムの巨匠はやはり万城目学ですね。「長持の恋」(『ホルモー六景』収録)は本当に切ない。私は来年70歳になりますが、主人公の気持ちが痛く胸に刺さりました。時代を超えた、京都ならではの恋愛小説で特におすすめしたい短編です。

作品に登場する場所に行くと、泣けたり青春時代を思い出すこともある。まるで物語が立ち上がり、作品の世界に自分が入り込むようです。

SHOP DATA

恵文社 西大路店

恵文社 西大路店

住 : 京都市南区唐橋西平垣町19
営 : 10:30~21:00 土日祝11:00~19:00
休 : 無休

西大路駅前にある創業50年を迎えた、街に根差し愛され続ける書店。西大路駅から徒歩10秒。一乗寺店とは一線を画す普通の中の普通、究極の普通書店を目指す。
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『クウネル』2026年9月号掲載
取材・文/中村悠介、編集/河田実紀

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『クウネル』NO.140掲載

旅を深める本76冊と歩く、京都。

  • 発売日 : 2026年7月17日
  • 価格 : 1,080円 (税込)

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