鎌倉の山の上に理想の平家を建て、悠々自適の1人暮らしを楽しむ<クウネル・サロン>プレミアムメンバーの井手しのぶさん。今の暮らしに行き着くまで、ライフステージの変化に応じて7軒の家を住み替えてきたパワフルな女性です。
好きだった庭や家のデザインが仕事につながり建築デザインの会社を設立、仕事に邁進していた生活を経て60歳を迎えた“今”についてお話を伺いました。
理想の家でのんびり暮らす。お金を使わなくても豊かな毎日。
昨年の10月に還暦を迎えた井手さん。これからはとにかく健康でいることが目標。と明るく語ります。
「この家は山の上にあるので、買い物の行き帰りだけで結構な運動になります。鎌倉に引っ越してから、スーパーで食材を買わなくなりました。お肉はお肉屋さん、お魚は魚屋さん、野菜はレンバイ(鎌倉農協連即売所)で買ったり庭の畑で獲れたものを食べたりしています。やっぱり新鮮なものって全然違う。
ここのところ食べるものが変わってきて、お豆腐とかこんにゃくとかを食べたいなと思うになりました。あと量が減ってきた。私、心配ごとがあると、すっと胃が閉じちゃって食べられなくなっちゃうの。だから少量でも質のいいものを食べるように。健康を意識してビタミン剤を飲んだりもしています。晩酌もするけど量は減りました。」
「60歳になったからって変わったことはあまりないんだけど、これからは節約していこうかなって思っています。仕事量を減らして自由な時間が増えたぶん、庭で野菜や果物を育てたり、DIYで小屋を立てたり…。ここに越してから、お金を使わなくてもわりと楽しく暮らしていける。っていうことに気がつきました。だったら節約してみようかなって。
まーくんが病気になってから、心配で食が細くなってしまって自然に痩せたんです。そしたら何を着てもすっきり見えるようになって、服も買わなくていいかなって。今持っている服で十分間に合っちゃう。今まではジュエリーや洋服にさんざんお金をかけてきたんですが、最近はすっかり物欲がなくなりました」
収納に入らないものは買わない。はみ出したら手放す。
海外で買い付けた素敵な家具や骨董品に囲まれながら、空間に余白があり心地よく整頓されている井手さんの家。1LDKのコンパクトな住まいですっきりと暮らすコツはあるのでしょうか?
「引越しの時にかなりの持ち物を処分しました。持ってきたのはこの家に入るものだけ。物を増やさないように、収納に入らないものは買わない。はみだしたものは処分するっていうルールを設けました。先日自宅でフリーマーケットを開催して、さらに物を減らしました。思い入れのあったアンティークの家具やテキスタイルが、また新しい人の手に渡って使ってもらえると思うとうれしいですね」
女社長としてバリバリ働き、たくさん稼いでたくさん使う時代も経験してきた井手さん。「引っ越しの時、着たことのない服や履いたことのない靴をどれだけ処分したことか。ハワイに旅行してルブタンの靴を大量に買ったりした時もありますが、山の上のこの家ではヒールなんて履けない。高い靴は処分して、もう全部スニーカーになりました」
本来、年に3回は海外に行っていたという旅行好き。コロナで海外に行けなくなったことと愛犬まさお君の闘病が重なり、「こんなに旅に出ないのは本当に久しぶり」と言います。
「海外旅行に行きたい気持ちはありますが、下手な国内旅行をするなら家にいたほうがいい。のんびりしたい時は、ウーバーイーツで出前でもとって、温泉も日帰りで行けばいいと思うようになりました。
物欲がある人は70になってもあるって言うけれど、私は今、本当に物欲がないんです。動物たちとここで平穏に暮らせれば十分だわ」
取材・文/吾妻枝里子
井手しのぶさん・「女ひとりで家を建てる」シリーズ
◎【女ひとりで家を建てる①前編】自分のために7軒もの家を建てた女性の家づくりの記録。
◎ 【女ひとりで家を建てる①後編】海のそばに住む夢を実現すべく家を建てたものの……。
◎ 【女ひとりで家を建てる②・前編】自分の家を7軒も建てるまで色々ありました。
◎【女ひとりで家を建てる②後編】3軒目の家を建てたとき、家づくりの会社が始動。
◎【女ひとりで家を建てる③前編】人生バブル期、4軒目に建てた家は箱根の別荘。
◎【女ひとりで家を建てる③後編】事件勃発。人生のバブル期はまさかの転換期でもあり……。別荘を建て、手放すまで。
◎【女ひとりで家を建てる④前編】5軒目の家は鎌倉山の洋館。そこをカフェにする計画が……。
◎【女ひとりで家を建てる④後編】中古住宅を買って、自分好みにリノベーションする楽しみ
◎【女ひとりで家を建てる⑤前編】自分のために建てた家は何と7軒!これが終の棲家か?!ついに完成した理想の平屋。
◎【女ひとりで家を建てる⑤後編】荒地の整地や予算の削減に奔走!理想の平屋が完成するまで。