【女ひとりで家を建てる③後編】事件勃発。人生のバブル期はまさかの転換期でもあり……。別荘を建て、手放すまで。

井手しのぶさん インテリア

家は3度建てないとわからないと言われますが、これまで自分のために建てた家は7軒。そんなパワフルな女性〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの井手しのぶさん。井手さんの家づくり顛末を6回にわたりお届けする連載第3回目・後編です。家づくりの仕事が順調に過ぎ、人生バブル期と思いきや、まさかの事態勃発!

贅を尽くし建てた4軒目の家・箱根の別荘。湘南と箱根の家を行き来して、豊かな暮らしを、と思い描いていたものの、現実はそうもいきませんでした。家庭も思わぬ方向へ進み、人生の転換期を迎えた井手しのぶさんの話です。

【女ひとりで家を建てる③前編】人生バブル期、4軒目に建てた家は箱根の別荘。 からの続き

憧れの別荘ライフもつかの間。

どこをとっても、これまでの中で一番お金をかけた家づくり。まさに絵に描いたようにお洒落で幸せな別荘での日々、と思ったのは実は最初だけ。親や友人、息子の友達と、ほぼ毎回誰かしらが遊びに来るから、別荘に着くなりまずは布団干しに、食事の支度。少し来ないだけで、あっという間に雑草がはびこるから、庭の草むしりや手入れも欠かせない。別荘で気を休めるどころか、「行って帰ってくるともうぐったり」が現実。
「でもおかげで別荘づくりのノウハウは身を以て学ぶことができました。目には見えない部分だけど、大切なのが湿気対策。普段は無人で窓も閉めきったままなので、湿気がこもらないようにするのが一番。うちは壁をすべて調湿性のある珪藻土にしてカビ対策。それと掃除が手抜きできるつくりにするのも大事な点。別荘に行って、掃除ばかりでは楽しめないですから」

そう語る本人も実際は庭の雑草退治に辟易。とはいえガーデンデザイナーでもある井手さんにとって、自然いっぱいの大きな庭は手のかけがいもあった。さまざまな植物を植えて緑を増やし、左官屋さんに池をつくってもらい、 水辺の風景もつくり込んだ。

井手しのぶさん 連載

夫の様子がおかしいと思ったら…

「葡萄の木を植えて、そのうち自家製ワインにも挑戦してみたいなんて、庭づくりに関しては案外楽しんでいました。夫婦喧嘩をした時の避難場所にもなったし。相変わらず仕事は忙しかったけど、3年くらいは結構使っていたかな。でもそうこうするうちに、気づいたらダンナの様子がおかしい。別荘にもスナックで知り合ったような酔っ払いが遊びに来るし、平日に家を空けて、大事な仕事の日に帰ってこないこともたびたび。

案の定、女でした。〝お金ができる=女ができる〞というど定番。魔がさすとかでは片付けられない確信犯だとわかり、離婚を決めました。私が出て行こうと思ったのですが、会社のスタッフみんなから『井手さんがいなくなったら1カ月でつぶれる』と引き止められ、結局ダンナを出しました。

働く女のオフは旅館の上げ膳据え膳の方が魅力的?

離婚が成立して身辺を小さくしたくなったのと、女手ひとつで家を2軒管理するのは大変だったこともあり、別荘はすぐ売却を決意。幸い売り出した3日後には家具付きのまま買いたいという人が現れ、さっぱりと全部置いてきました。働く女にとっては、別荘での休日より、旅館での上げ膳据え膳の方がやっぱり幸せ、というのが私の結論。高い勉強代につきましたが」

■■これまでの記事 ■■
【女ひとりで家を建てる①前編】自分のために7軒もの家を建てた女性の家づくりの記録。
◎ 【女ひとりで家を建てる①後編】海のそばに住む夢を実現すべく家を建てたものの……。
◎ 【女ひとりで家を建てる②・前編】自分の家を7軒も建てるまで色々ありました。
【女ひとりで家を建てる②後編】3軒目の家を建てたとき、家づくりの会社が始動。
【女ひとりで家を建てる③前編】人生バブル期、4軒目に建てた家は箱根の別荘。

『ku:nel』2016年7月号掲載

取材・文・構成…佐々木信子(tampopo組)

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