【女ひとりで家を建てる④後編】中古住宅を買って、自分好みにリノベーションする楽しみ

井手しのぶさん

家は3度建てないとわからないと言われますが、これまで自分のために建てた家は7軒。そんなパワフルな女性〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの井手しのぶさん。井手さんの家づくり顛末を6回にわたりお届けする連載第4回目・後編です。今度は5軒目の鎌倉山の家の話。いまでは当たり前の古い物件を買ってリノベーションするスタイル、井手さんはその先駆けでした。

【女ひとりで家を建てる④前編】5軒目の家は鎌倉山の洋館。そこをカフェにする計画が……。からの続きです。

中古住宅のリノベーションは今や住宅取得の有力な選択肢だ。それまでは「賃貸」「新築マンションや建売住宅の購入」「土地を買って家を建てる」のが普通だった。そのどれでもなく、中古を買って自分好みの空間に改修・改装してしまう。中古マンションのリノベーションが広がり、この鎌倉山の家のように古い一軒家をリノベーションして、木造住宅ならではの柱や梁をデザインの一部に組み込むスタイルも人気を集めている。

中古住宅リノベするメリット

「当時はまだまだ新築信仰が圧倒的でしたが、この家を見た時に『ここをこうしたら素敵になる』と自分なりに想像できました。土地だけより、家が建っていた方がスケール感がイメージしやすいんです。しかもそれが古家の場合ならほぼ土地の値段だけで売りに出ているので、リノベーション前提でハコ付きを選ぶ方がおすすめです。そういう意味で今の若い人たちはお金の使い方が上手。どこを節約して、どこにお金をかければ自分好み
の住まいが手に入るかを知っています。家の基礎があって、柱組みがあれば、いったんスケルトンにしたとしても一から建てるより安上がり。しかも新築にはない雰囲気が楽しめます。ただ断熱と床下 は要チェック。昔の家は今のようにコンクリートを流し込むベタ基礎ではなかったから、湿気があるとシロアリ被害も考えられます。契約する前に、信頼できるパートナーを見つけて家の状態を見てもらった方がいいですね」

買主の目線で調べてもらい、シロアリ被害や床の傾斜などの隠れた瑕疵があれば、売主と交渉してもらう。それに中古一軒家の場合、耐震補強の問題も見逃せ ない。
「それでも新築よりリノベの方がずっと安いし、予算を集中的に使えるから自分の好きなようにできるのがメリット。私も思いっきり改造を楽しみました」

またまた井手さんにお引っ越しの兆しが……

でもそんなに気に入って暮らしていた家なのに、ある日、葉山で海が目の前の土地に出合ってしまった。「海辺の家に住んでみたい!」。突発的に転居を決めた。今の家を売れば土地代プラスαになりそう。そうして山の家から海の家へ。連載初回で紹介したあの素敵な住まいだ。
「今思うと山の家の方が好き。やっぱり海の暮らしより山の暮らしの方が私は落ち着くし、疲れない。だけど一回やってみないと気づかないタイプなんです。もう海はいいかな」
こうして井手さんはいったん海の家に移り、2016年の今、また山の家へ。

■■これまでの記事 ■■
【女ひとりで家を建てる①前編】自分のために7軒もの家を建てた女性の家づくりの記録。
◎ 【女ひとりで家を建てる①後編】海のそばに住む夢を実現すべく家を建てたものの……。
◎ 【女ひとりで家を建てる②・前編】自分の家を7軒も建てるまで色々ありました。
【女ひとりで家を建てる②後編】3軒目の家を建てたとき、家づくりの会社が始動。
【女ひとりで家を建てる③前編】人生バブル期、4軒目に建てた家は箱根の別荘。
【女ひとりで家を建てる③後編】事件勃発。人生のバブル期はまさかの転換期でもあり……。別荘を建て、手放すまで
【女ひとりで家を建てる④前編】5軒目の家は鎌倉山の洋館。そこをカフェにする計画が……。

『ku:nel』2016年9月号掲載

取材・文・構成…佐々木信子(tampopo組)

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