【60歳、女ひとりのお金と暮らし】55歳で立てた老後の資金計画。心配性だからこそ、先回りして早めに準備

井手しのぶ ダイニングテーブル 猫

元々好きだった庭や家のデザインが仕事につながり、建築デザインの会社を設立、お子さんの成長や離婚などライフステージに応じて7軒の家を立て、住み替えてきた<クウネル・サロン>プレミアムメンバー>の井手しのぶさん。豪快なエピソードとは裏腹に、自身の性格を“心配性”と言う井手さんが、悠々自適な暮らしを手に入れるために準備したこととは?

老後の資金計画は、体力と経済力があるうちに。

海に面した葉山の戸建てを売却し、老後を見据えた鎌倉の平家に住まいを移したのは、井手さんが55歳の時。

「この家を建てて引っ越そうと思った時、90歳まで生きても人に迷惑をかけないで暮らしていけるよう、資金計画を立てたんです。心配性なので普通の人よりも、いろんなことを早め早めに考えているかもしれません。先回りしてできることは、自分でやりたい性分なの。ローンをなくして資金をプールしたかったので、当時住んでいた葉山の家と貸していた鵠沼の家を売りました。

そこから老後の資金を残してローンを組まずに建てられる金額を弾き出して、今の家の予算を決めたんです。(家作りのエピソードは【女ひとりで家を建てる⑤後編】荒地の整地や予算の削減に奔走!理想の平家が完成するまで。

キッチンに立つ井手しのぶさん

プールした老後資金は銀行の積み立て保険に預けて75歳から毎月定額が入る経済的な基盤を作り、仕事は無理せずマイペースに。というライフスタイルにシフト。

「体力と経済力があるうちに、早めに計画を立てるって大事。ファイナンシャルプランナーにも相談しましたが、どうしても典型的なプランになっちゃうから、それは参考程度に。頭の中でざっくりと、毎月の生活費とか固定資産税、年に数回旅行に行く予算を考えて、私の場合、毎月このくらいあれば生活できる。それが10年間だと合計いくらで、10年後には年金が入ってくるからこのくらいの金額でいいかな。とあれこれ試算しました。

軽井沢とか八ヶ岳とか、もう少し安くて広いところでのんびり暮らしてみたいという気持ちもあるんですが、仕事を引退するにはまだ早い。ここにいれば口コミや友達の紹介で仕事がつながっていくので、需要がある限り、いくつになっても仕事は続けていきたいですね」

家の資産価値を上げて、軽やかに住み替える。

女ひとりで息子を育てながら老後の資金を確保できたのは、建築デザイナーとしてのキャリアだけでなく、ライフステージに応じて家を購入し、住み替えてきたからだという。

井手しのぶさん リビング 椅子

「『家賃はお金を捨てるようなものだからもったいない』と母に言われていたので、結婚してすぐ、25歳の時に最初の家を買いました。だから家賃というものをほぼ払ったことがないんです。7軒も家を建てた人はあまりいないと思うけど(笑)、結果プラスでした。

アメリカやヨーロッパでは家は資産という考え方だし、リフォームやDIYで手を入れて、家の資産価値を上げていく。日本では家は資産償却っていう考え方だから住み替えが難しくなる。そうならないようにきちんと手を入れて、欲しいと思う人が出てくるように資産価値を上げていけばいい。私の場合、売却のサイクルが約5年と早かったから、だいたい購入金額とトントンで売れました。

『家は一生の買い物』って思っちゃうとなかなか買えないかもしれないませんが、今は子育てのために子供部屋が必要でも、子供なんて18年くらいで出ていっちゃって、そしたら子供部屋どうする?ってなりますよね。そうなったらもう少し小さい家にして荷物も減らせば掃除も楽になるし、マンションに住み替えるのもありだと思う。ライフステージに応じてその都度住み替えていけばいい。

今の家は庭の手入れとか手がかかるから、いつまで住み続けていけるかなって思うのと同時に、手がかかるからこそ元気でいられるのかもしれないと思います。1日がかりで雑草を抜いたのに、次の朝起きるとまたきれいに花が咲いていたりするとがっくりくるけど(笑)、それもまた楽しみのひとつなんです」

取材・文 吾妻枝里子

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この記事の
プレミアムメンバー

井手しのぶ

1961年生まれ。神奈川県・湘南エリアを中心にナチュラルな家づくりをする「パパスホーム」代表として長年活躍。代表を退いた後、フリーの建築デザイナーに。いままでに6軒もの自邸を建て、理想の家づくりに邁進する様はクウネルの連載「女ひとりで家を建てる」でも紹介済み。
http://shinobuide.com
Instagram : @shinobuide

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