【”あきらめ”がキーワード? 一田憲子さんの大人の片づけvol.9】『大人の片づけ』その後の話

一田憲子 オブジェ

片づけ本のようでありながら、人生の後半を心地よく生きるための指南書となっている、『大人の片づけ できることだけやればいい』(マガジンハウス刊)が話題の編集者・一田憲子さん。これまで片づけでたくさん失敗を重ねてきたという一田さんに、今までとは少し違う角度で考える、大人の”片づけ”について3回に渡ってお話を伺う、シリーズ最終回になります。

■日々のもやもやを言語化する

ーー暮らしの本をたくさん編集されていますが、本を作ることは自分の暮らしを見直すきっかけになりますか?

一田憲子さん(以下、一田):そうですね。やっぱり書くって、自分がもやもやと分かっていたことを言語化する作業なんですよね。すると意識するというか、書きながら「そうか、私はこういうことを考えていたんだよね」って分かるときがある。それは書きながら理解していった感じです。

ーー言語化することで見えてくるんですね。でも本に書かれている「振り返りノートを作る」ことは、誰でもすぐに真似できそうです。

一田:”整える”、”片づける”というのは部屋のことだけでなく、自分の思考や、インプットとアウトプットのバランスも”整える”、”片づける”と言えると思います。7回目で話したできることとできないこと、歳をとって変わることも、自分の中を整理してみないと分からないことですよね。

一田憲子
『大人の片づけ』で紹介されている、その日あったことを振り返り、思いついたことを書き留める「振り返り」ノート。

ーー全部繋がっているんですね。

一田:実はこの本を作った後、整理収納アドバイザーのEmiさんの「マイノートの作り方」というワークショップに参加したんです。ノートにその日あったことを書くだけでは記録に過ぎないので、どんどん忘れてしまうのですが、その下に一本線を引いて心に触れたことを自分がどう思い、どうするかということを書くんです。

■心に触れる言葉を自分に活用する

一田:Emiさんの真似して、私も一本線を引いてその下に書いてみたんです。やってみると感動したことをメモするだけなら簡単なのですが、自分の一言をひねり出す作業が、すごく考えないとできないんですよね。でもそれを書くと残るんです。目からウロコでした。例えば、私は日々のことを毎日ブログに書いていて、何を書こうか悩んでいたのですが、その一言を書いていると「あれを書こう」ってすぐに思いつけるんです。自分の思考に落とし込んで、インプットだけではなくアウトプットをした方が、自分のなかに得たことが染みつくんだと実感しました。

ーー「振り返りノート」がさらにアップデートされた感じですね。

一田:小さいメモは後から見直す気がなくなると言われたので、持ち歩けるように薄い、A4サイズの大きなノートにしたんです。電車の中で本を読んでいるとき、いいなと思う言葉を書けるように。どこにでも持ち歩いています。でも毎日ではなくてもいいんです。1日の最後に書いたり、後から思い出して一言ひねりだしたり、絶対に毎日書かないといけないと思うと続かないので、思いついたときに書くようにしています。

ーー確かに、忙しいとどんどん忘れてしまいますよね。

一田:意外と暮らし系の雑誌からだけではなく、中吊りや新聞の一言など、他ジャンルからのアンテナがピッと立ってインプットをすると、すごいいい気がするんですよね。インプットするのは、例えば携帯でスクショしておくという方法もあるのですが、スクショは少しでも”いい”と思ったときにするけど、かばんからノート出して書くとなると、よっぽどいいって思ったときにしかやらないですよね。でもよっぽどいいときだけでいいんだな、欲張らなくていいんだなって思いました。

ーーそれも情報の整理ですね。

一田:ライターをしていると、どうしてもネタにと思うので、情報をいっぱい集めておきたくなりますよね。仕事でもブログでもいつも書いていますが、ブログで書くのは仕事とは少し違う感じかもしれません。イベントなどで店頭に立っていると、「毎日電車に乗って、会社に行く中で読んでいます」と言ってくださる方がいて、その人の朝のいち風景になっていることが嬉しくて、「まだまだ頑張らなくちゃ!」って思います。

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聞き手:赤木真弓

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