【”あきらめ”がキーワード? 一田憲子さんの大人の片づけvol.8】自分がまず動くことで、人間関係も円滑に

一田憲子 ソファ

片づけ本のようでありながら、人生の後半を心地よく生きるための指南書となっている、『大人の片づけ できることだけやればいい』(マガジンハウス刊)が話題の編集者・一田憲子さん。これまで片づけでたくさん失敗を重ねてきたという一田さんに、今までとは少し違う角度で考える、大人の”片づけ”について3回に渡ってお話を伺います。

■うまくいかないときは違うアプローチを考える

ーー2回目でも紹介しましたが、片づけについての考え方は、夫婦で足並みが揃っているのでしょうか?

一田憲子さん(以下、一田):夫は掃除は几帳面にするのですが、整理整頓に関してはあまり几帳面ではなくて。よくけんかをしています(笑)。私が掃除機かけたのに「隅が掃除できていない」ってもう一度掃除機かけるんですよ。「やってくれてありがとう、私できないのよね」って言える人はいいけど、私は妙に張り合っちゃう性格なので、すごく悔しいんですよ。でも「そこは夫の方が得意だから任せよう」って、折れるようになったら少し楽になりました。

ーーけんかを積み重ねて、関係がうまくいくようにやっていく?

一田:お互いに正面から、「こうやって片づけなきゃだめじゃない」って言い合うとぶつかりますよね。そうではなく、少し違う方向から考える。コップを置いておくと夫も置きっぱなしにするから自分は洗う、そうすると夫も洗うという感じで、「なんでそこに置きっぱなしにするのよ」って言うのではない方法を考える。これも前回のできないことをどうやるかという話と同じで、違うアプローチを考える感じですよね。

ーーなるほど。そういうときは一田さんから歩み寄る感じでしょうか?

一田:困ったらですね。例えば、ソファの前に置いたかごの中に夫の部屋着が入っているのですが、几帳面なのに脱ぎ散らかした服をソファに置いたまま出かけるんです。私は大雑把ですがそういうのは嫌いで、中が多少ぐちゃぐちゃでも所定の位置に戻したいんです。でも夫はできないから、その理由を考える。几帳面がゆえにきちんと戻したいけど、戻しに行くことができないんですよね。それなら、”とりあえず見えなくなる置き場所を作ればいい”という策を考えたんです。

■自分が変われば相手も変わる

ーーその考え方は、仕事仲間や親子、さまざまな人間関係で応用できそうですね。

一田:本当にそう。仕事でも、人間関係が一番難しいですよね。でも解決してくれたのは、勝間和代さんのブログで読んだ「長となる人が一番、一緒に仕事をする人に仕えなければいけない」という言葉だったんです。長として引っ張るのではなく、一番みんなのために尽くさないとうまくいかない。それを読んで、「私は誰のためにも尽くしてなかった」と思いました。あの人のためにこれをしておこうって、自分が真っ先に動いて尽くすというマインドになると、すごく変わってきましたね。

ーーやってあげると相手にもやってほしいという気持ちになってしまいそうです…。

一田:「なんでやってくれないの?」というマインドのままだとずっと不満が残るのですが、「自分が一番動く」というマインドになると、やってくれないことが割と気にならなくなります。もちろん、「なんで私がやらなくちゃいけないんだ」って思うことはあります。でも呪文のように「私が一番尽くす」と思っていると、相手が気持ちよくやってくれるようになる。あとはその人が得意な分野をやってもらうこと。無理して得意ではないことではなく、私が不得意でその人が得意なところを探すときもあります。

ー一田さんなりの打開策が「自分が一番尽くす」ことだったんですね。

一田:人間関係は私もいっぱい失敗してきたし、本当に難しいと思います。ダメ出しができないから、ずっともやもや考えてしまうタイプなんですよね。でも自分が一番動いていたら、意外とはっきりと言えたりするんです。「ここまでやってるんだし、言ってもいいんじゃない?」って。でもまだまだ難しいですね。

一田憲子
一田さんが「収納のカスタマイズ」に成功したという、すっきりとしたキッチン。

■自分ごととして役立つ一言を

ーーこの本には、それぞれの文章の最後にまとめの一言がありますが、どうやって導かれているんでしょうか?

一田:前回「決めるのは苦手」だと話しましたが、結論を出すのも本当は苦手。まとめの一言も、以前は「無理に言葉をひねり出して書く一言は、いらないのでは?」って思っていたのですが、いろんな本を作ってみると、ここに反応してくださる方がすごく多いんですよね。確かに私も本を読んでいて、最後に要約された一言が書いてあったら、ピンポイントでそこを覚えておけばいいって思えます。やっぱり読む人に「これは一田さんの話ね」ではなく、自分ごとにして読んでほしい。誰にも共通する真実のようなことを共有したいと思うので、私から離れた一言があった方がいいんじゃないかという思いで書いています。

ーーー確かに、客観的な言葉ですよね。

一田:やっぱり読んでもらった人に、何かお土産を持って帰ってもらいたい気持ちがあります。この本を読んでよかったって思ってもらいたいですね。

→インタビューは次回に続きます。

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聞き手:赤木真弓

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