一田さん流、捨てられない服の整理の仕方。【”あきらめ”がキーワード? 一田憲子さんの大人の片づけ④】

一田憲子 洋服 収納

編集者・一田憲子さんの新刊『大人の片づけ できることだけやればいい』(マガジンハウス刊)が話題です。発売早々に重版がかかったそのわけは、片づけ本にはあまりない大らかさゆえ?!

自身を「面倒くさがり」で「三日坊主」と評する著者の気ままな片付け術は、どんな人でも「あなたでもできます」と受け入れてくれる柔軟さがあります。そして、一見「片づけ本」のようでありながら、人生の後半を心地よく生きるための指南書でもあるところが本書のみそ。読んだ後から、やる気が沸きおこり、自分の暮らしに風を通すヒントが見つかるはずです。

■ずっと変わらない 定番なんてない

50歳以上の女性のためのおしゃれのムック『大人になったら、着たい服』を立ち上げ、おしゃれの先輩を取材する中で、いちばん驚いたのが、みなさんが 「失敗」を繰り返してきた、という事実でした。洋服が大好きで、あれこれ買って着てみても、なんだか似合わなくて。そんな鏡の前で絶望した時間が、知らないうちにその人の「センス」を磨いてくれる……。だったら、私は圧倒的に 「失敗が足らないわ」と思ったのでした。 若い頃から、洋服1枚を買うより、ちょっといい器を買うほうがワクワクしたもの。清水の舞台から飛び降りるつもりで、漆のお椀を買ったり、作家さんの個展に出かけたり。だから今、器は「これが好き」とすぐに選ぶことができ ますが、洋服選びには、まだまだ自信がありません。 普段からパンツスタイルがほとんどで、イベントや人前に出るときだけワンピースを着る、というのが定番スタイルです。ずっと、自分にはシンプルでメンズライクな服が似合う、と思ってきました。

でも……。あるセレクトショップオーナーに「イチダさんは、顔が丸くてかわいらしいから、ちょっと女らしい服のほうが似合うと思うよ」と言われてびっくり! 試しに、今までは絶対に選ばなかった襟元にフリルのついたシャツを買ってみました。すると、それを着て行くと、みんなに褒められるのです。「あれ?もしかしてコレ、似合ってるっていうこと?」と思うようになりました。 歳を重ねてくると、誰もが中性的になるそうです。メンズライクな服を着て、 ショートカットの私は、もしかして「おじさん化」していたのかも! そこから、少しずつ選ぶ服が変わってきました。今は、ボトムスはシンプルに、トップスはフリルや細かいダーツなどがあしらわれた、ひと匙の「甘さ」があるものを選ぶようにしています。

一田憲子
着なくなった服をとりあえずケースに入れて、出すことがないと判断すれば処分。

こうして、選ぶ服が変わると、クローゼットの中に「かつてよく着た服」が溜まってきます。ほんの 2〜3年前に買ったのに、最近ちっとも着ない。そんな服を処分するのは難しい……。そこで、まずは着なくなった服をいつものクローゼットから出すことにしました。「無印良品」のソフトボックスを用意して、 ここでしばらく寝かせて、もし着ることがあれば、再度取り出せばよし、ずっとこの中で眠り続ければ、処分すればよし。ワンクッション置くことで、処分する罪悪感を軽減し、クローゼットの中もすっきり保つことができます。

おしゃれの先輩に「『もう持ってる』は禁句」と教えてもらいました。同じチノパンでも、5 年前に買ったものと、今年のモデルはフォルムが違います。 ベーシックなアイテムでも、微妙な違いで「今年らしさ」が感じられるもの。「定番だから」とずっと更新しないと、「古びた人」になってしまいます。

ものを増やさないように、とは思うけれど、おしゃれに新陳代謝は欠かせません。だからこそ、クローゼット収納は定期点検が必要。「私に似合う服ってなに?」と問い続けることと、「今」にフィットした服だけが並ぶクローゼットはリンクしています。おしゃれに必要なものは、時の経過に合わせた風通しのよさなのかもしれません。

撮影 黒川ひろみ

※本記事は『大人の片づけ できることだけやればいい』(マガジンハウス刊)からの抜粋です。

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