ビジュアルマーチャンダイザーとして働いているキャロリーヌ・ナタフさんは自身の両親が共働きだったこともあり、子供には寂しい思いをさせたくないと家庭に専念することに。今回はそんなキャロリーヌさんにお話を伺いました。
▼これまでのシリーズ
1)【フランスマダムの家庭事情①】「子育てで何かを諦める人生を送りたくない」と、家事や子育ては夫と分担。
2)【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。
3)【フランスマダムの家庭事情③】生まれた息子の障害を知り、人生がプラスに方向変換。エルヴェリンさんの素敵な生き方。
4)【フランスマダムの家庭事情④】47歳で、まさかの出産。離婚を経て、得た第二の人生。
ボンマルシェに近い、シックなアパルトマンで、家族4人で暮らすキャロリーヌ・ナタフさん。以前はメゾン ドゥ ファミーユのビジュアルマーチャンダイザーなどで活躍していましたが、今は自宅で子育てに専念しています。「夫のジェロームとは23歳から付き合っているんですが、29歳までは別れたり、付き合ったりを繰り返して……。私は実家にいたこともあり、大人になりきれていなかったんでしょうね」
ルノーに勤める彼が、出張先の日本から帰国した直後「今度は一緒に行こう」と言い、結婚を切り出しました。結局30歳で結婚し、35歳で長男を出産。「結婚してしばらくはふたりだけの生活を楽しんだので、遅い出産になったことに後悔はありません。ただ夫が忙しく、私は仕事をリタイヤしました」。 かつて自分の両親がともに仕事を持っていて、幼少期に寂しい思いをした記憶があるので、自分の子供にそういう思いをさせたくないと考えました。
「私の母はポーランド系ユダヤ人で祖父はアウシュビッツに収容された人。耐え忍ぶ生活を強いられたせいか、人に愛情を表現するのが苦手で、母も同じ。自分が子供を持つまで、そんな母に距離を感じ、理解するのに時間がかかりました」。自分が子供を愛することで母の愛情を理解でき、今は週に1、2度会う仲の良さ。
一方でお父さんは小さい頃からヒーローのような存在だったと言います。「父はユダヤ系チュニジア人で地中海のように明るく、強くてやさしい人。私は父を尊敬し、なんでも話せました。昨年、89歳で亡くなったんですが、悲しすぎて立ち直るのには時間がかかりました」。専業主婦になってからは、バカンスで旅に出るのが一番の楽しみ。家族全員でモーリシャス、アメリカ、ドミニカ共和国、そして3年前は日本へも。「昔から旅が好きでしたが、今は夫だけでなく、子供とも旅の楽しさを共有できるようになったのが喜びです」
センスのいい両親からの贈り物
キャロリーヌさんのご両親はサンジェルマンでブティックを経営。これらのジュエリーはどれもおふたりからプレゼントされたり、譲り受けたもので、まさに宝物だそう。
子供たちとの時間を満喫する生活
今はふたりの子供との時間を最優先。長男のレオくんは10歳、写真は長女のエミーちゃん。キャロリーヌさんと一緒にキッチンに立ち、あれこれ手伝ってくれるやさしい娘さん。
インテリアのセンスは抜群
メゾン ドゥ ファミーユでマーチャンダイザーとして日々商品の見せ方やディスプレイを仕事にしていただけあって、インテリアやテーブルセッティングのセンスは抜群。
『ku:nel』2020年11月号記載
写真 篠あゆみ / コーディネート 石坂紀子 / 文 今井恵
●フランスマダムの離婚シリーズほか
◎【フランスマダムの離婚物語】波乱万丈から穏やかな生活へ。「今の私が一番好き」になるまで。
◎【フランスマダムの離婚物語】「絵に描いたような幸せ」から一転。周りに支えられ、新たに掴んだ幸せ。
◎【フランス流生き方2・前編】66歳で3度目の結婚をし、自分のために生きると決めた女性。
◎【フランスマダムの家庭事情④】47歳で、まさかの出産。第二の人生を楽しむつもり。アンナさんの素敵な生き方。