波乱万丈だった人生。ようやく家族との時間を持てると、落ち着いてきたときに訪れた大きなサプライズ。まさか自分が、再び出産するなんて。15年ぶりに部屋にベビー用品が転がる風景はなんとも微笑ましいですね。今回はアンナ・ウゴリーニさんにお話をお聞きしました。
▼これまでのシリーズ
1)【フランスマダムの家庭事情①】「子育てで何かを諦める人生を送りたくない」と、家事や子育ては夫と分担。
2)【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。
3)【フランスマダムの家庭事情③】生まれた息子の障害を知り、人生がプラスに方向変換。エルヴェリンさんの素敵な生き方。
アンナ・ウゴリーニさん
建築家イタリア出身。学生時代に渡仏。
2000年からジャン・ヌーヴェル建築事務所で働き、一度独立後、2007年に再び戻る。平日はパリ、週末はノルマンディーのセカンドハウスへ。
電通汐留本社ビルの建築でも知られる、フランス人建築家ジャン・ヌーヴェルのもとで働く、アンナ・ウゴリーニさん。「一度ジャンから独立し、夫と建築事務所を立ち上げたんですが、夫婦での仕事はうまく行かず、私はジャンのもとに戻り、その後離婚するに至りました」。元夫との間には、18 歳と15 歳の娘。その直後、パートナーとなったフィリップとは、現在まで11年間一緒に暮らす。
娘たちとフィリップとの生活が私の第二の人生。フィリップと暮らすようになってすぐ、ジャンの事務所では『ルーヴル・アブダビ』美術館の10 年ごしの大プロジェクトが始まり、最後の 5 年間は2週間ごとにパリとアブダビを行ったり来たり。その間、自分の子供でないのにかかわらず、フィリップが彼女たちの面倒を見てくれました。思春期の上の娘とはぶつかることも多く、その調整は本当に大変でしたが、絆が深まり、娘たちが彼を『二人目のパパ』と自ら呼ぶようになったほどなんです」『ルーヴル・アブダビ』は2017年に無事完成。
ようやく家族での時間が持てると思った瞬間、大きなサプライズが!「まさかの妊娠! 彼は子供を欲しがりましたが、娘たちの気持ちを考え、断っていたんです。だから妊娠したことを彼女たちにどう伝えようか、迷いました」。 でも娘さん二人は涙を流して大喜び。しかもその際、彼女たちがフィリップさんを思いやり「お父さん」と呼んだことは、涙が出るほどの感動でした。「47歳で無事に3人目を出産。妊娠中、娘たちが本当によくお手伝いをしてくれました。フィリップと出会い、本当に新しい人生が開けたんです。2016年にノルマンディーにセカンドハウスを購入し、ロックダウンの際はそこで家族 5 人水入らずの生活をして、ますます絆が深まった気がします。今も毎週末ここを訪れてリラックスできるから、この年齢で子育てと仕事が両立できるのでは?と」
持ち帰った看板をオブジェに
『ルーブル・アブダビ』建設現場から持ち帰った看板。「建設に関わっている最中は、子供たちに寂しい思いをさせましたが、このプロジェクトに関われたのは誇り」
ルーブル・アブダビのパンフレット
オープニング前の特別内覧会に家族を招待し「ママの仕事が誇らしい」と言われた『ルーブル・アブダビ』のパンフレット。苦労が報われうれしかったと。
47 歳での思いがけない出産
昨年、47歳で出産したアンナさん。「これから最低でも18年間は元気でいないと。娘のルチアが生まれたおかげで、若さを保てるかな?とちょっと期待もしています」
再び楽しむベビーとの生活
15年ぶりに、こんなふうにベビーのおもちゃが転がる生活が新鮮。「娘たちは自分らが生まれるまでの再現映像を見るように、私の妊娠を一緒に楽しんでくれました」
『ku:nel』2020年11月号記載
写真 篠あゆみ / コーディネート 石坂紀子 / 文 今井恵
●フランスマダムの離婚シリーズほか
◎【フランスマダムの離婚物語】「何度別れたって、私の人生は恋と共にある」
◎【フランスマダムの離婚物語】「いつかシングルの女友達と同居生活を」。離婚で増えた人生の選択肢。
◎【フランスマダムの離婚物語】二度目の結婚も積極的!「新しい彼が私のフェミニンな側面を引き出してくれた」
◎【フランスマダムの家庭事情③】生まれた息子の障害を知り、人生がプラスに方向変換。エルヴェリンさんの素敵な生き方。