【目利き書店員セレクション5冊】丸善博多店・徳永圭子さんが本の書き出しから読みたくなる本は?

書籍『まとまらない言葉を生きる』の表紙

新たな本に出合いたいけれど、何を選べばよいか分からない。そんな時は本のプロである書店員さんに聞いてみるのも手。直木賞作家から書店員歴40年以上のベテランまで、個性的な書店オーナー&書店員さんに「推しの本」を取材しました。

約60万冊の書籍に出合える幅広い品揃えが評判の博多の名店

本にも相性がある、と優しい語り口で教えてくれた徳永さん。「自然にすっと入ってくる言葉というものがあるんです。気になる本の書き出しを読んでみると、その感覚を掴めるんじゃないでしょうか」。

自身は何かを極めた方が書くエッセイが好きだという。「言葉を自分の手元で自由に楽しむ。そんな言葉のプロに憧れがあり、中でも同世代に推薦したい本を選びました」

書籍『まとまらない言葉を生きる』の表紙
まとまらない言葉を生きる』荒井裕樹
マイノリティの自己表現を研究する著者が、言葉の力に向き合う。「言葉にまつわる厳しい現実と希望を知る一冊」。1,980円(柏書房)
書籍『イリノイ遠景近景』の表紙
イリノイ遠景近景』藤本和子
翻訳家でもある著者が米・イリノイ州在住時に出会った人々を綴ったエッセイ。「暮らしの中の愛に気付かされる一冊 」。990円(ちくま文庫)
書籍『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』の表紙
エクソフォニー 母語の外へ出る旅』多和田葉子
ドイツ語と日本語で創作する著者によるエッセイ。「言葉の宿る場所、言葉の越境について考えさせられます」1,078円(岩波現代文庫)
書籍『夕暮れに夜明けの歌を』の表紙
夕暮れに夜明けの歌を』奈倉有里
副題は〈文学を探しにロシアに行く〉。「どんな国にも文学があり言葉があることに胸を打たれます」。1,980円(イースト・プレス)
書籍『杞憂に終わる連句入門』の表紙
杞憂に終わる連句入門』鈴木千惠子
連句の魅力をエッセイと連句作品から伝える一冊。「ゲーム性のある、品のある言葉遊びに挑戦したくなります」。1,650円(文学通信)
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『クウネル』2023年1月号掲載

編集・文/吾妻枝里子

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