【フランスの台所vol.4】旅先で集めた器や、日仏の便利な道具も豊富に揃えて。

白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰

暮らしの中のキッチンの存在とは?という問いに、ひとりの女性は パルタージュ( 仏語で分かち合うの意味 )する場所と言いました。家族が集い、友人と語らう、幸せを分け合う場所がキッチンなのです。 パリで暮らす女性たちの、素敵なキッチンと料理を取材しました。最後にお届けするのはH Vegan Bento主宰・白石浩子さんの台所です。

ヘルシーで大人気のヴィーガン弁当はここで生まれます。

2019年のファッションウィーク のときにスタートした、白石浩子さん のヴィーガン料理のお弁当。

「私自身がヴィーガンになったのは5年ほど前。自分の体や家族の健康を考えて始めました。パリでは日本以上にたくさんの人が好むヴィーガン料理ですが、実は生野菜だけとか、意外とバリエーションが少ないんです。しかも和食のヴィーガンはほとんどありません。なので見た目も美味しそうで、華やかなお弁当を作りたいと考え、2019年に現在のケータリング業をスタートさせました」

白石浩子 フランスの台所 ヴィーガン弁当
地下にワインカーブ があり、そこから持ってきたワインを完璧な温度で保管。大切なゲストを迎える際には、ワインセラーが活躍。

最初は知り合いのファッション関係者にメールと作ったお弁当の写真を送 っての小さなスタート。それがパリコレで来仏した日本のブランドや撮影隊のお弁当を作っているうちに評判を呼び、今ではフランス人からのオーダー も来るようになりました。

「ほぼ毎日お弁当づくりと配達があります。フランス人のファッション関係者からのオーダーがほとんどで、必要に応じては取り分けのケータリング料理を作ることもあります」

そんな白石さんですが、家庭では11歳の息子と8歳の娘の母親。家族の食事とケータリングの仕込みと、キッチンにいる時間はとても長いのです。

「このアパルトマンはもともと建築家の夫が結婚前から暮らしていた家です。 2列型のキッチンは作業台がとても広 いのが気に入っています。同時進行でいろいろなものが作れるし、シンクとコンロが背中合わせで、細長い作りなのでとても動きやすい。また両方の壁 一面が収納で、食器や食材を収めるのに、とても助かっています」

不満はひとつもないんですか?と聞くと「手が届きやすい場所に、スパイスラックが欲しいことぐらいかな」と、 ほんの一言。今は調理台から離れた場所に収納しているので、もっと身近に 置いて料理の効率をアップしたいそう。 キッチンツールは日本から持参したものとフランスで買ったものが混在。

日本とフランスのキッチンツールを取り揃えて

白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰
「家族でよく行くモ ロッコのマラケシュや海沿いの街エサウイラなどで買った食器。結婚前に夫が買っていたも のもあります」
白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰
キッチンのタイルと同系色の素焼きのポットはイタリア製。 木ベラやマッシャー、ス パチュラなどキッチンツールを入れている。
左はもともとトリュフ用のスライサー。「お弁当作りのとき、ラディッシュやカブ、ビー ツの薄切りに使います」。 右は日本のおろし金。
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「機能性が一番大切ですが、やはり毎日手に取るものだから、その上でデザインがいいものを選んでいます。合羽橋の釜浅の鉄鍋やおろし金もあれば、 ハンドミキサーやプロセッサーなどはフランスのものを使っています」 白石さんの日常は、朝7時に起き、 家族の食事を作ることから始まります。

「子供たちが学校に出かけると同時に、 料理をスタート。だいたいがランチの配達なので、その後買い物をして帰宅し、午後は次の日の仕込みをします」 必要な場合は、子供たちの就寝後に再びキッチンに立つ日もあります。

「お肉好きの人が食べても満足できる ヴィーガン料理が理想なので、味をし っかりつけて、品数は多め。火を通した食べ応えのあるメインを数種類考え て、バリエーションをつけています」 さまざまなスパイスで味に変化をもたらし、冷めても美味しいおかず。さらに旬の野菜を選び、見た目も華やかに。フランスには日本以上にヴィーガン対応の調味料が揃っていますが、白石さんはソースも手作りです。

「自慢は豆乳マヨネーズ。いろいろ試行錯誤を重ねた結果、豆乳、植物油、 梅酢、マスタード、メープルシロップで作ったものが一番美味しくできました。常備のソースをいろいろ用意しておくと、野菜を蒸したり、茹でただけ で、美味しくいただけます。とはいえ、子供たちはコロッケや鶏の唐揚げが大好き。茹で野菜はもっぱらひとりのときに。私はヴィーガンといっても、外食先でお魚を少量いただくことも」

白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰
クミン、コリアンダー、ターメリッ ク、パプリカに豆乳ヨーグルト、オリーブオイル、ニンニクを混ぜて作るカ リフラワータンドリー。
白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰
えごまの実、アボカド、シソ、にんじんのナムル、紅芯大根の塩麹漬けと黒米入りの米で作ったキンパ。味つけは自家製醤油麹。
白石浩子 フランスの台所 H Vegan Bento主宰
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いつも湯気が立つキッチンは、家族 にとっても、ホッとする場のようです。 「自宅にオフィスがある夫がコーヒー を淹れにきたり、子供がおやつを食べ に来たり。料理を作る私を中心に、家族 のコミュニケーションが生まれます」そして白石さんのキッチンは、抜群の収納力を生かし、器の数もかなり豊富に揃っています。

「夫が器好きで、彼が結婚前から持っていたものもかなりあります。ふたり とも旅先であれこれ器を見るのも大好きで、日本に行くと和食器を必ず買って帰ります。あとはよく行くモロッコで買った器が多いですね」 フランス人の胃袋をつかんだ白石さんのヴィーガン料理。次はどんな味が、キッチンから生まれるのでしょう。

『ku:nel』2021年5月号掲載

写真 篠 あゆみ / コーディネート 鈴木弘子、 石坂紀子(白石さん)/ 文 今井 恵

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