【快適暮らし名人・石黒智子さんの台所道具1】「60代になって、台所道具の見直しをしました」

家を建てて40年近く。日々持ち物を見直し、アップデートしてきた石黒さん。特に毎日の調理で使う台所道具は、自分の年齢や体力に合わせて交換してきたそうです。そんな石黒さんに、見直しのキーワードや道具選びのコツを教えていただきました。

「いまのベター」を探して日々、持ち物を探して。

「いいもの探しのスペシャリスト」 「快適暮らしの名人」として、暮らしの工夫や、愛用品を自著や雑誌で紹介してきた石黒智子さん。そのアイデアや、お気に入りの道具リストは、真剣に暮らしに向き合うなかで磨き上げられてきたものです。状況や体力の変化に合わせ、「その時のベター」を探りながらブラッシュアップさせてきました。60代後半のいまも、日々持ち物を見直していると言います。「いまのベター」を教えていただきました。

台所の一角には仕事机をしつらえている。料理をしながら、2台のMacを駆使して執筆や商品開発などの仕事をこなす。

見直しのキーワードは、より軽く、小さく、少なく。特に、毎日の調理で使う台所道具は、最小限に数を減らし、扱いやすく、手入れのラクなものへと交換します。ひとつのきっかけは、毎年、開催していたお花見をやめたこと。 庭には樹齢70年を越える4本の見事な桜があり、開花時期の10日間に50人を超える来客をもてなしてきました。「でも、もう体力的に無理、と思って2019年の春、今回を最後にしようって決めました」 最後のお花見に大切な食器やグラス、調理道具の四分の三を来客にゆずることができたのが幸いでした。歳を重ね、食事量も減ってきた最近は小皿の出番が増えてきました。

大切なのは軽量感

よく使うキッチンツールは調理台のスタンドに立てて、それ以外は壁のマグネットやバーに収納。いつも目にするから、使いにくいと感じたときに交換しやすい。いずれも軽く、使うときも洗うときも、手入れもラク。デザインにも妥協しない。

物の配置も見直し

「使用頻度の高くなった小皿を、さっと取り出しやすいように、引き出しの一番上に並べました。以前は和食器、洋食器と分けて収納していましたが、いまは取り混ぜて。年を重ね、食べる量が減ってきて、洋食でも小さい和食器に盛りつけています」

調理家電も最小限に

頼りにしているビタントニオのスロークッカー。ガス火で沸騰させた鍋を入れてタイマーセットしたら、仕事をしている間に料理が完成。このほかの調理家電はスタンドミキサー、ハンドミキサー、オーブントースター、ブレンダー、電子レンジ、コーヒーミルのみ。

選ぶ色も変わりました

「鍋つかみや手用の布巾は 漂白できるように、いままでは白で統一していたのですが、置き忘れたときに探し出しづらくなってしまい、赤に変えました」。鍋つかみにしている赤い軍手は、スムーズに着脱できるように、手の入れ口のゴムを抜いてひと工夫。

「気力、体力のあるうちにと、身の回りのいろいろを点検しています」 ここ一年のうちにも暮らしに大きな変化がありました。それは、世界中の人の暮らしを激変させたコロナの影響です。外出自粛で行動範囲はぐっと狭 まりました。そして、友人を招いての 食事やご近所の方とのお茶も休止。でも、石黒さんはあくまでも軽やか。手紙を書くことが増え、買い物も、インターネットを駆使して日本中、いや世界中の商品を検索、比較検討し、自分の欲しいものに確実にたどり着いています。

「どこで暮らそうが、誰もが家にいながらにして、世界中から欲しいものを探し出せます。出かけるのを控えるようになった社会現象への対応で、世界中の書籍や食品が以前よりずっと簡単に購入できます」

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『ku:nel』20215月号掲載

写真 杉能信介 / 取材・文 鈴木麻子

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