葉山の御用邸近くにカフェ食堂「やまねこ」を構える山根さんですが、彼女のとっておきの場所はもう一つあります。それは山の中腹の小さな日本家屋。そこで畑仕事をしたり、茶道を嗜んだり、自然体で過ごすことで、自分らしくいられるそうです。そんな、生きていることを実感できるライフスタイルについて教えていただきました。
▼前編はこちら
【山根佐枝さんの葉山ライフ/前編】自分が好きなことだけをしようと、50歳を過ぎた頃に決めた選択基準。
自然と共存できる小さな家
自宅と仕事場の「やまねこ」のほかに、葉山の山の中腹に小さな家を借りています。「とりわけ、心のよりどころになっているのが、葉山で最初に借りたこの家です。隙間風で冬は寒く、夏の西日には辟易しますが、木々に囲まれていてツリーハウスみたいな趣でしょう。蜘蛛やヤモリと暮らし、ときどきムカデに驚かされますが、鳥のさえずりや雨音が近くに聞こえ、自然の息吹を肌で感じられるのが魅力」
春先からゆっくり家で過ごすことができた今年は、数年ぶりに畑を耕したそうです。「自分で食べる野菜を少しでも作ることができたら、心穏やかに過ごせそうな気がして。あっという間に育つ緑は自然の命そのもの。草をむしりながら、土を耕しながらの生活はまさに〝暮らしの営み〟。休んでばっかりの自分を反省しながらも、まぁ、いいか、来年は頑張ろう!と、前向きな気持ちになります」。山からの涼しい風が、心地よく感じられる場所です。
自分が自分らしくあるために、これからもサーフィン、茶道、太極拳は細く長く続けていきたいです。葉山の暮らしの一瞬一瞬が、自分が生きていると実感できること。いちばんの幸せ感なのだと思います。
不健康かもしれないけれど好きなお酒は多めに飲み、野菜たっぷり、お肉もお魚もバランスよく。体の声を聴いて、風邪気味なら横になって養生し、最低限の薬もとる。腰痛予防に朝のストレッチ。無理はしない、なるようになるというFLOW(流れ)を受け入れる気持ち。そんな感じで、これからも10年、20年と暮らしていきたいです。行雲流水という言葉のように」。
〈PROFILE〉
やまねさえ
53歳編集者・「やまねこ」主宰東京都生まれ。週末の葉山生活を経て10年前に本格移住し、9年前「やまねこ」をオープン。夫である写真家の横山泰介氏とともに趣味のサーフィンを楽しみながら、カフェ食堂&バーを営みワークショップなど人生を大きく変え、自然と人のあり方から考え方まで多くのことを教えてくれたサーフィンが生活の中心に。
〈SHOP DATA〉
やまねこ食堂
神奈川県三浦郡葉山町一色1985
046-803-0058
営業時間と定休日は不定期。ブログまたはインスタグラムで確認を。
http://yamanekohym.jugem.jp
Instagram:@yamaneko.hayama
◎ライフスタイルに関する記事、他にもいろいろ。
●【花田美恵子さんの新生活。前編】ハワイの思い出とともに送る、日本での新しい日々。
●【花田美恵子さんの新生活。後編】軽やかさと自由を選択し、暮らしが整うことで、気づけたこと。
●花田美恵子さん登場!新しい家族との生活で、素の自分が出せるように。
『ku:nel』2020年9月号掲載
写真 横山泰介 / 取材・文 黒澤弥生