葉山の御用邸近くでカフェ食堂『やまねこ』を営むかたわら、さまざまなイベントを企画し、趣味のサーフィンに情熱を注ぐといった、欲張りライフをおくる山根佐枝さん。その軸にあるWell Beingであるための暮らしを見せていただきました。
「私たち夫婦の生活のリズムは一年中、サーフィンが中心です。波が上がるかどうかで1週間の予定が決まります。旅行も、波のあるところ、いい波の立つシーズンに合わせて計画します。朝、目が覚めて、天気を見て、波や風の状況から何をしようか、考えます。波があればサーフィン。なければ、山を歩くか、素潜りにいくか、SUPで海に漕ぎ出すか……」
うらやましくなるような山根佐枝さんの日常生活ですが、いいことばかりではないといいます。それと引き換えに都会での交流や暮らしを手放しました。また、店を毎日開けていた頃には、お客さんが全く入らず心が折れそうになることもあったそうです。
歩いて2分の海が暮らしに密接
「なんだか心が晴れないときは、浜辺に行って海を眺めたり、海に浸ったりします。体の故障部分となんとか折り合いをつけながら、波が立ったら必ず海に入れるコンディションに整えている、というのが実情です」
心が揺れたら、好きなことだけをする
「世界中、どこを旅しても、葉山がいちばん!と言えるほど、大好きな場所です。自然が豊かで食も豊か、文化的な意識が高いなど、生活の便利さと心を満たす要素が十分にあります。ここでの暮らしは自由。 すべてを自分で決めていますが、ときには心が迷うことも。そんなときでも、取り繕ったり、人目を気にせず、自分が好きなことだけをしよう50歳を過ぎた頃に決めた選択基準です。いろいろあっても、結果的に〝なんだか幸せ〟といつも感じられるように、気持ちをシフトしながら過ごしているのかもしれませんね」。海や山、懐深い自然に癒やされながらの暮らしです。
〈SHOP DATA〉
やまねこ食堂
神奈川県三浦郡葉山町一色1985
046-803-0058
営業時間と定休日は不定期。ブログまたはインスタグラムで確認を。
http://yamanekohym.jugem.jp
Instagram:@yamaneko.hayama
〈PROFILE〉
やまねさえ
53歳編集者・「やまねこ」主宰東京都生まれ。週末の葉山生活を経て10年前に本格移住し、9年前「やまねこ」をオープン。夫である写真家の横山泰介氏とともに趣味のサーフィンを楽しみながら、カフェ食堂&バーを営みワークショップなど人生を大きく変え、自然と人のあり方から考え方まで多くのことを教えてくれたサーフィンが生活の中心に。
◎ライフスタイルに関する記事、他にもいろいろ。
●【50代の挑戦】いつでも“始める”冒険者。日本から台湾に移住して、学んだこと。
●【50代の挑戦。前編】楽しく自由に、 体が動くのはあと20年くらい?今、選択しなければ、もうチャンスはないかも……。
●【キム・ヘナさんの新たな暮らし】都会から海辺の町へ。肩の荷が下りた、心安らぐ日々への変化。
『ku:nel』2020年9月号掲載
写真 横山泰介 / 取材・文 黒澤弥生