【パリマダムの買い物ルール⑤】「買い物大好き!いったい、誰が好きじゃないっていうの?」

買い物という行為を愛しているという、デザイナーのエリナさん。洋服もアートも買って満足するのではなく、出合いの行程から楽しんでいるのだとか。今回はオシャレな彼女の買い物事情を、ファッションからアートまで、お気に入りのものたちと共にご紹介します。

”art de shopping”買い物は消費でなく、プロセスすべてが楽しい。

エリナ・ハリミさん(バルバラ ビュイ デザイナー兼「KABUKI」バイヤー)

「買い物は大好き!いったい、誰が好きじゃないっていうの?」と問いかけるエリナ・ハリミさん。デザイナーという職業柄、ふつうの人より最新トレンドの服を買うことが多いといいます。

ただ最近の、何でもインターネットショッピングという風潮には疑問を投げかけます。「インターネットショッピングは単なる消費。店での買い物はセレモニーや儀式だと思うんです。店員さんとのコミュニケーションも楽しいし、ゆっくり試着する時間は大切。店から受けるサービスなども必要な要素です。ものを手に入れるのではなく、ものを買うのに付随してくることも、ショッピングの喜びのひとつですから」。

スニーカー
スタッズ使いが印象的なグッチのスニーカーは、マスキュランな服を着崩す、絶妙なアイテム。
ミニバッグ
ショルダーベルトが今年らしい、プラダのバッグ。アクセント小物として大活躍。
ヘルムート・ニュートンの写真集。女性像がエリナさんの好きなスタイルとリンクする。アート本や写真集は眺めているだけでインスパイアされるので、たくさん購入しているそう。
ベネチアで購入したフォルチュニーのライト。昨年、アートのビエンナーレで注文し、6カ月前に到着。
右ページのコーディネートにあわせた、バレンシアガのリング。
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今日着ているのは、サンローランのメンズシャツにセリーヌのパンツ。「このパンツはフィービー・ファイロの最初のコレクションのもの。ハイウエストは脚が長く見えるから好きなんです。メンズの白シャツはすごく好きなので、 何枚も持っています」。

ベーシックな服は、どんなシーンにも 似合うマルチコーディネートです。とくに目指すアイコンがいるわけではないけれど、マレーネ・デートリッヒのような、サンローランの服をフェミニンかつマスキュランに着こなす女性がイメージ。

「コーディネートはミックススタイルが好きなので、ヴィンテージや前のシーズンの服も着回します。だから昔の服も大切にしています」。サンローランのストライプのジャケットは最近のベストバイ。黒いパンツとあわせたり、どんなコーディネートにも似合う、買って本当によかったものだそう。

「エルメスのバッグは価格が高くても、購入して500%の満足感を得られる」。どんなシチュエーションでも、どんなコーディネートにも似合う永遠のバッグ。
今年のベストバイはサンローランのストライプジャケット。デニムと白いTシャツ、そして足元にはスタンスミスをあわせたり、シックに黒いパンツでまとめたりと、デイタイムにもナイトシーンにも大活躍する一枚。
荒木経惟のボンデージ写真。モノクロームの世界の中から感じる美しさにエリナさんは惹かれる。部屋を彩るアートとして、もっと増やしたいそう。
靴は約400足所有。最近の気分はグッチ。ファーのサンダルは周りの人たちがフラットを買っていたので、あえてヒールを。
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「ファッション以外で好きな買い物のひとつがアートです。アート作品を買うときは夫の意見もあるので、よく考え、時間をかけて買うことが多いです」。

たとえば荒木経惟の写真は以前から欲しいと思っていたもの。でもお気に入りの一枚を見つけるまで、2〜3年かけて探したのだとか。「ボンデージがエロティックでありながら、独特の美しさを醸し出しているのが気にいっています。そして今はロバート・メープルソープの写真を探すのが楽しい。ギャラリーなどを巡り、時間をかけてこれ!という一枚を探すのは、出合いの喜びを感じるので好きな作業です」。

洋服もアートも買って満足するのではなく、出合いの行程から楽しんでいるエリナさん。「art de vivre(暮らしの芸術)という言葉があるけれど、art de shopping とも言えると思います。私は買い物をするという、その行為を愛しているんです」。

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『ku:nel』2016年11月号掲載

写真 篠あゆみ/コーディネート 石坂紀子/編集・文 今井 恵

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