20代は就職せずに子育てに専念。その後、友人に誘われて子供ブランドを立ち上げてみたり、陶芸の講座を受講してみたり。今はアトリエをオープンするのが夢だそう。今回はそんなジェラルディンさんのお話。
▼これまでのシリーズ
1)【フランスマダムの家庭事情①】「子育てで何かを諦める人生を送りたくない」。と、家事や子育ては夫と分担。
2)【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。
3)【フランスマダムの家庭事情③】生まれた息子の障害を知り、人生がプラスに方向変換。エルヴェリンさんの素敵な生き方。
4)【フランスマダムの家庭事情④】47歳で、まさかの出産。離婚を経て、得た第二の人生。
5)【フランスマダムの家庭事情⑤】キャリアはひと休み。今は家族との時間を大切に。キャロリーヌさんの素敵な生き方。
ジェラルディン・コルネット・ドゥ・サン・シールさん
主婦。19歳で結婚。3人の子供を育てながら子供服ブランド『MALOUP』を友人と設立。40歳で4人目を出産後、陶芸の道へと進み、陶芸教室のためのアトリエを準備中。
29歳、27歳、22歳、9歳の子供たちに加え、この春、長男に子供が生まれ 、「49歳でおばあちゃんになっちゃった」。と笑う、ジェラルディン・コルネット・ドゥ・サン・シールさん。「長男、次男、三男は、19歳で結婚した前の夫の間にできた子供です。アートを学ぶ学生でしたが、やはり子供は自分の手で育てたいと思い、就職はせず、20代は子育てをしていました」
子育てが落ち着いた頃、モーリシャス人の友人に声をかけられ、子供服のブランドを立ち上げました。「『MALOUP』という、メリノウールやカシミアなど天然素材を使った良質な子供服のブランドです。幸い順調に業績が伸び、パリに2店舗がありました」。 仕事の忙しさと子供の思春期がぶつかり、精神的に休まらなかったのもこの時期。心も体もヘトヘトに。
「そうこうするうち35歳で離婚。でも子供たちが成長してくれていたので、気持ちはポジティブに前向きでした」 。そして38歳で今の夫と出会い、40歳で4人目の子供を出産しました。「前の子供のときと同じで、しっかり育てようと仕事を辞めました。それは子供の成長を見届けたい気持ちと、知らない人に子供を預けたくないという気持ちが仕事への情熱より優っていたからです」。 とはいえ、娘のローズちゃんが9歳になり、再び自分で何かがしたいと思うようになったというジェラルディンさん。
「やはり手仕事が好き。刺繍、帽子作りなど、いろいろな講座を受講し、勉強した結果、陶芸をやろうと決意しました」。 6ヶ月の集中講座を受け、資格を取得。その後は毎日9時から18時まで、技術、知識ともにみっちり勉強を重ねました。「今は年末までにアトリエをオープンし、そこで子供や大人に教える教室を開くために動いています。子育てで2回、キャリアを諦めましたが、そのことに後悔はありません。だからこそ、今の夢を叶えたいと全力で取り組むつもりです」
講座開講に向け、日々勉強を
成形の技術や色つけ、釉薬の調合など、集中講座で資格を取ってからも、みっちり勉強した。「土と向き合い、ものづくりに集中する時間が何より好きです」
最近仕上げた作品は大皿
独特の藍色の花瓶や器、写真の大皿のような比較的大きな作品も仕上げている。「アートの学校出身だけに、やはり色を塗る、絵付けをするのが一番好きな作業です」
作品を店で販売する楽しさも
作品を置いてくれる店も増え、日本の急須のような形も人気。少しずつ違う形に仕上がるのが、ハンドメイドならでは。「この楽しさをアトリエでたくさんの人に教えたい」と。
『ku:nel』2020年11月号記載
写真 篠あゆみ / コーディネート 石坂紀子 / 文 今井恵
●フランスマダムの離婚シリーズほか
◎【フランスマダムの離婚物語】波乱万丈から穏やかな生活へ。「今の私が一番好き」になるまで。
◎【フランスマダムの離婚物語】「絵に描いたような幸せ」から一転。周りに支えられ、新たに掴んだ幸せ。
◎【フランス流生き方2・前編】66歳で3度目の結婚をし、自分のために生きると決めた女性。
◎【フランスマダムの家庭事情⑤】キャリアはひと休み。今は家族との時間を大切に。キャロリーヌさんの素敵な生き方。