浅野忠信さんの母でアーティストの浅野順子さんの創作を支える自由な部屋とは?

作品が生み出される「背景」を知りたくて、クリエーターの家を訪ねました。今回は、60歳を過ぎてから独学でアーティストとしての活動を始めたという画家・浅野順子さんのお部屋を訪問。創作の場であり、暮らしのベースでもある個性あふれる魅力的な住まいをご紹介します。

PROFILE

浅野順子/あさのじゅんこ

日本とスウェーデンのダブル。60代で、独学で絵画を描き始める。11月には渋谷の現代アートギャラリー『YUGEN GALLERY』にて個展を開催予定。Instagram:@junkowillma

絵に没頭できる自由なアトリエ

初の個展は63歳のとき。飲食店を営んだり、服飾の仕事をしたり、さまざまな経験を経てたどり着いたのは、絵を描くことでした。

「ずっと絵を描くことは好きだったけれど、画家として活動を始めたのは、いまから10年ちょっと前。画家のパートナーと一緒に絵本を描いたのがきっかけです」。彼に背中を押されるように、絵を描くことに夢中になり、ひとりに戻ったいまも朝から晩までキャンバスに向かいます。

通りに面したアトリエは、陽当たり最高。特に明るい朝の光のなかで、キャンバスに向かう浅野さん。朝から晩まで描き、思い立ったら夜中でも筆をとるのだそう。テーマは決めずに、思うまま描くことがほとんど。

主な画材はアクリル絵の具。何度も塗って、乾かして、また重ねて、立体感のある絵が浅野さんらしさ。キャンバスに描くこともあれば、木の板だったり、段ボールだったり。さまざまな素材に向かいます。「テーマは決めずに、その時々に感じたことを描きます。白いキャンバスを目の前に置いた途端に、ふわっと描きたいものが降りてくるときもあれば、床にゴミがぽとっと落ちた瞬間にインスピレーションが湧くこともあります。そのときの体調とか心持ちとか、いろいろなことが影響して絵ができる。面白いです」

壁は何度も自分で塗り直し。濃いグリーン部分は黒板塗装。中央の大きな作品は初個展用に描いた渋谷の街のアクリル画。

アトリエ兼住まいがあるのは、東京のど真ん中。築50年近いビンテージマンションで、浅野さんは20年ほど前から暮らしています。「内見に来たら、たまたま知り合いのクリエーターが住んでいて、その方が感じよくリフォームされていたんです。それで、その場で『買います!』って即決しちゃったの」

愛用のアクリル絵の具。塗り重ねながら、描くスタイル。「創作に集中してしまうと5時間くらい飲まず食わずなことも」

「めでたいもの」コーナー。達磨は息子・浅野忠信の名が描かれている。アンティークの棚には日用品を収納している。

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/松村隆史、取材・文/鈴木麻子

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この記事の
プレミアムメンバー

浅野順子

1950年生まれ、神奈川県横浜市出身。日本とスウェーデンのダブル。独学で絵画を描き始め独特のスタイルで創作活動を続け、2013年63才で初個展【Junko Asano Exhibition】nuisance galerie以来個展を多数開催。現在もnew challenge進行中。

『クウネル』No.122掲載

やっぱり、家が好き!

  • 発売日 : 2023年7月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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